スモールM&Aでの破談(ブレイク)要因とは

山崎 美穂
2023.07.06

気を付けて欲しい、破談(ブレイク)要因2つ
 M&Aで、せっかく素敵なお相手と巡り合えたのに、事前の準備を怠ったことで、破談(ブレイク)となってしまうケースが稀にある。

 今回は中小・小規模事業者の方のスモールM&Aに的を絞り、どのような要因が破談となる可能性を持っているのかをお伝えしたい。
要因1:株が集約されていない
 中小・小規模事業者の方のスモールM&Aの場合では、多くが株式譲渡・事業譲渡の2つの契約方法に分類されることが殆どだ(詳細等は割愛させて頂く)。

 この“株式譲渡”で話を進める場合、重要になるのが「株式」を全て譲渡希望者に渡す準備が完了しているかという点だ。

 株式譲渡は、株式を全て譲り渡すことで、会社を丸ごと譲り渡す方法である(一部例外有り)。

 そのため、全株式の譲渡が完全に完了しないことには、会社が譲渡希望者のものになったとは言えず、承継が完了したことにはならない。

 完全に自分のものにならない会社を買いたいと思う譲渡希望者はなかなかいないので、事前に全株を集約する(または、全株主へ株式の譲渡の確約を頂く)必要がある。
要因2:重要な情報をあとから伝える
 譲受希望者にとって、M&Aは大きな決断だ。慣れない交渉に加え、成約まで手間と時間がかかる上、資金も必要となる。

 そんな苦労をかけて譲り受けた企業で、もし問題が発生したとしたら…。殆どの場合で全責任を背負うのは譲受者である。

 上記のような被害を受けないように、譲受希望者は問題になりそうな点などを抱えていないか、希望条件と相違はないか等を入念に確認する。

 確認方法としては、決算書や事業に関わる重要資料を見たり、専門家を入れてデューデリジェンス(企業調査)を実施したりもするが、いくつかは口頭で質疑応答をして確認する。

 確認が終わると、契約書の内容等を詰めていく事になるが、もしその際に、「実は残業代の未払いが一部ある…」などと後出しで重要な情報を譲渡企業から譲受希望者に伝えた場合、譲受希望者は不信感を持ってしまう。

 「まだ何か隠していることがあるのではないか…」という疑念を一度持たれてしまうと、なかなか払拭することは難しく、最後まで関係が改善できなければ、多くの場合で破談する。

 そのため、“重要なことは始めに伝えること”がとても重要と言える。
M&Aは大きな契約の1つと考え、身構え過ぎないことも大切
 M&Aは特殊なことと思わず、誠意や相手へのリスペクトを持って、通常の仕事と同じように考え判断することが出来れば、納得のできる形で成約することも可能であるはずだ。

 とはいえ、進行・手順・専門的知識が必要な点もあり、また、企業によっては活用可能な国の支援策などがあり、コストを抑えてM&A等を進めることが出来る可能性もあるので、専門知識をもったアドバイザーに依頼する事をお勧めする。
※1.
株式の集約に関しては【所在不明株主に関する会社法の特例】という支援策もある。
※2.
株式の集約時、株主の方にM&Aに関する情報全てに対して秘密保持の確約も必要である。
 上記の要因に是非ご注意頂き、良い出会いに巡り合えることを切に願う。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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