第三者承継(M&A)で譲渡額を算定する方法とは?

山崎 美穂
2023.08.03

様々な算定方法
 会社は、資産など“目に見える有形資産”もあれば、技術や利益が出る仕組みなどの“目に見えない無形資産”もあり、M&Aで会社を譲り渡すときに算定している譲渡額がどのように計算されているのか、疑問に思われた方も多いのではないだろうか?

 譲渡額の算定は、多くは士業等専門家が譲渡側の経営者との面談や決算書等資料・現地調査などに基づいて算定を行っている。バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)とも言われ、実は様々な手法がある(例:簿価純資産法/時価純資産法/類似会社比較法(マルチプル法)など)。

 今回は中小・小規模企業など小さな会社のM&Aの現場でよく用いられる【簡便的価格算定方法】について詳しく解説したい。
簡便的価格算定方法
譲渡直前の利益金額 × 〇年分 + 時価純資産価額
<譲渡直前の利益金額>
 営業利益や税引後利益に、減価償却費の加味や、対象事業とは関係のない活動によって発生した利益金額などを考慮した金額をあてはめる。
<〇年分>
 対象会社が今後利益をどれほどの期間出し続けられそうかで年数が変わる。儲けの構造が長く続きそう・業種的に今後も利益が見込めそうなど、長く続きそうであれば長い年数をあてはめ、一過性の部分があるとなれば短い年数をあてはめる。一般的には、「1~3年」が多い。
<時価純資産価額>
 貸借対照表の資産および負債を時価算定して、その差額をあてはめる。資産であれば在庫や機械などの資産を時価に洗い替えし、負債であれば退職金などの「隠れ負債」があればそれを加味する。
 上記の算定方法で譲渡企業・譲受希望企業にお話しすることで、双方からご納得頂けることが多い。
算定した譲渡額がそのまま譲渡額となるとは限らない
 M&Aの流れとしては、譲渡企業が社名などを判別されないように作成した企業概要書で譲受希望企業を募り、お相手が現れたら秘密保持契約を結んだ上で、譲渡企業名や決算書等の詳細が開示され、譲渡企業・譲受希望企業との交渉がスタートする。
 順調に交渉が進むと、譲渡契約の前に、譲受希望企業が士業等専門家等に依頼するなどして、デュー・ディリジェンス(DD)といって、財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について調査を行う。
このDDは、譲渡額の精査や、判明した実態を踏まえて譲渡後の事業改善点の想定を行うことなどの目的で行われる。
 仮にDDで譲渡額の調整が必要な事柄が確認されると、譲渡額変更の申入れ・交渉となり、最終的に譲渡企業・譲受希望企業の双方が合意した譲渡額で譲渡契約の締結となる。

 そのため、譲渡契約締結まで譲渡額は決定した金額ではないので、ご留意頂きたい。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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