令和5年度相続税等の税制改正のあらまし

村田 直
2023.08.10

相続時精算課税に係る基礎控除の創設
 令和5年6月30日に、国税庁からパンフレット「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」が公表されている。令和6年1月1日から施行される内容であり、非常に大きな改正がされているため、今回はその改正内容の一部を取り上げる。

 まず、相続時精算課税に係る基礎控除が創設される。

 相続時精算課税を選択(注1)した受贈者(以下「相続時精算課税適用者」)が、特定贈与者(注2)から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円(注3)が控除される。

 また、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額とされる。この点は、暦年贈与課税にはないメリットであり、今後、相続時精算課税を選択するインセンティブになるものと思われる。
(注1)
相続時精算課税は、原則として、①贈与者が贈与の年の1月1日において60歳以上であり、②受贈者が同日において18歳以上で、かつ、贈与時において贈与者の直系卑属である推定相続人または孫である場合に選択することができる。
なお、相続時精算課税を選択した場合、その後、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更することはできない。
(注2)
特定贈与者とは、相続時精算課税の選択に係る贈与者をいい、令和5年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税を選択した場合も含む。
(注3)
同一年中に、2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合の基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格で按分する。
相続時精算課税を選択した場合、その特定贈与者からの贈与について暦年課税の基礎控除の適用はできない。
暦年課税による生前贈与の加算対象期間等の見直し
 また、暦年課税による生前贈与加算制度について、次の通り、見直しが行われる。

 相続または遺贈により財産を取得した方が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)にその相続に係る被相続人から暦年課税による贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額(その財産のうち相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされる。

 この改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用される。具体的な贈与の時期等と加算対象期間は以下となる。
出典:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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