ETCのインボイス対応が柔軟に

木下 洋子
2023.10.19

 国税庁は、令和5年10月2日にインボイス制度のQ&Aを更新し、事業者からの問い合わせが多かった、ETCクレジットカードを使用した高速道路利用について仕入税額控除を受けるためのインボイス対応を明確にした。
クレジットカード利用明細書と高速道路会社ごとの一取引の利用証明書の保存でもOK
 クレジットカード会社から受領する「クレジットカード利用明細書」は、通常、売手の交付する書類ではなく、取引内容等の記載もないため、一般的にインボイスには該当しない。

 そのため、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除く。以下同じ)を使用した高速道路利用に関しては、原則すべての取引について、ETC利用照会サービスでダウンロードした「利用証明書(簡易インボイス)」の保存により仕入税額控除を行うことが必要となる。

 他方、高速道路の利用頻度が高く、「利用証明書」のダウンロードが困難なときは、「クレジットカード利用明細書」(個々の高速道路利用に係る内容が判明するものに限る。また、取引日や取引内容、取引金額が分かる利用明細データ等を含む)と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の「利用証明書」を併せて保存することにより、インボイスの保存があるものとすることができる。

 また、「利用証明書」については、クレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等がインボイス発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る利用証明書を令和5年10月1日以後、一回のみ取得・保存することで差し支えないとした。
組合がETCクレジットカードを組合員に交付している場合のインボイス対応
 組合がETCクレジットカードを組合員に交付し、組合員がETCクレジットカード利用に係る高速道路代金の仕入税額控除を行うには、組合員(または組合)が道路会社の「ETC利用照会サービス」から「利用証明書」(簡易インボイス)をダウンロードし、組合員において保存する必要がある。

 しかしながら、カード交付(保有)枚数が大量で、カードごとに「利用証明書」をダウンロードすることが実務上困難との実態を踏まえ、以下の方法で組合員が仕入税額控除を行って差し支えないとする。
組合が、クレジットカード会社から交付される「クレジットカード利用明細書」と高速道路会社等ごとに任意の一取引の「利用証明書」を併せて保存
組合は、これらに基づき精算書を組合員に交付し、組合員はその精算書を保存
 組合から組合員に交付する「精算書」のイメージ等については、経理方法ごとにETC利用照会サービス「ETCクレジットカードを利用した高速道路利用に係るインボイス対応について」において国税庁作成の詳細な資料で示されているので参照されたい。
出典:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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