シニア期の家計収支の改善策

西海 重尚
2023.11.27

働けるうちは働く
 シニア期の家計収支の中心となる課題は「生活に必要な資金と受け取れる公的年金との差額をどうするか?」ということである。退職金と公的年金でゆったりと暮らせるのであれば問題はないが、残念ながらそうはいかない場合も多い。シニア期の家計収支の改善策としては次の4つが考えられる。
収入を増やす
支出を減らす
資産運用力を高める
ライフプランを見直す
 まず思いつくのは①と②であろう。平均余命が延び、今のシニア期は、かつてと異なり、体力・気力ともまだまだ充実している。家計収支改善のためには、「働けるうちは働く」というスタンスが基本となろう。
働く65歳以上の高齢者数が過去最多
 総務省統計局の調査によれば、2022年の65歳以上の高齢者の就業者数は、19年連続で前年に比べて増加し、912万人と過去最多となった。同年の65歳以上の就業率は25.2%で、65~69歳は50.8%、70歳~74歳は33.5%となっており、いずれも過去最高となった。また、同年の15歳以上の就業者総数に占める高齢者の就業者数の割合は13.6%と過去最高で、就業者のおよそ7人に1人を65歳以上の高齢者の就業者が占めている。
高齢者が働きやすい環境に
 働く65歳以上の高齢者数が過去最多となった背景には、定年延長や再雇用などで、高齢者が働きやすくなったことがあげられる。労働人口の人手不足を受けて、経験豊富なシニア層の活躍が、社会の生産性維持に欠かせなくなってきた。そのため企業がシニア層人材の処遇を現役並みに改善する動きも相次いでおり、さらには非正規雇用から雇用の正規化も進んでいる。
シニア期の家計収支の改善に向けて
 シニア期の家計収支に問題がないかを確認するためには「資金計画の見える化」が必要である。そのためには、FPに相談するなどして、家計収支のキャッシュフロー表を作成することをおすすめしたい。キャッシュフロー表に自分が希望するライフイベントを盛り込み、将来の収入と支出を予測して、家計収支に問題がないかを確認し、改善点があれば改善を行って、楽しく人生を過ごしていただきたい。
出典:
西海 重尚(にしうみ・しげひさ)
西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、終活アドバイサー、公的保険アドバイザー

慶応義塾大学経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、生命保険と相続の身近な相談相手として活動中。

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