免税事業者も消費税を請求して良いか?

木下 洋子
2023.12.21

 国税庁は、11月13日にインボイス制度の「多く寄せられるご質問」をインボイス特設サイトにて公表した。そのなかから免税事業者が交付する請求書に記載された事項など、一部ご紹介する。
免税事業者も仕入れ等で負担した消費税相当額を請求しても問題なし
 インボイス発行事業者以外の者であっても、インボイスに該当しない(インボイスの記載事項を満たさない)請求書や領収書等の交付等を行うことは、これまでと同様に可能である。

 ただし、インボイス発行事業者以外の者が、インボイス発行事業者が作成したインボイスであると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付すること等を提供することは禁止されており、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用対象となる。ここにおいてインボイスであると誤認されるおそれのある表示をした書類とは、例えば、登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字や自身のものではない登録番号を、自らの「登録番号」として記載した書類などをいう。

 なお、免税事業者が請求書等に消費税相当額を記載したとしても、それがインボイス等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の適用対象となるものではないと明示している。また、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは適正な転嫁として、何ら問題はないとのことである。
免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の適用を受ける場合の請求書等
 インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、インボイス保存方式開始から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられている。この経過措置の適用を受けるためには、例えば、「80%控除対象」、「免(「免」という字を丸で囲む)」など、当該経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載をした帳簿及び、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存が必要となる。この請求書等の記載事項について、具体的には次の事項となる。
書類の作成者の氏名又は名称
課税資産の譲渡等を行った年月日
課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
 なお、受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」等の記載がなかった場合、③かっこ書きの「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」については、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められる。
インボイス発行事業者からの課税仕入れに係る経過措置の適用等
 免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の適用は、取引の相手方が適格請求書発行事業者以外の者である場合に限らず、例えばインボイス発行事業者から交付を受けた登録番号のない請求書等を含め、区分記載請求書等の記載事項を満たしたものの保存がある場合には、一律に、当該経過措置の適用を受けることとなる。

 仕入先が多数あり、登録番号の記載のない請求書の交付を受けることが多い事業者にとって、インボイス発行事業者から交付を受けた登録番号の記載のない請求書等を含め、登録番号の記載のない請求書等について一律に免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の適用を受けることが明示されたことは、事務負担の軽減という意味では朗報であろう。
出典:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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