リバースモーゲージを利用して老後生活資金を作る

西海 重尚
2024.02.26

リバースモーゲージとは
 FP資格取得のためリタイアメントプランニングを学習する際に、リバースモーゲージは必ずおさえておかなければならない項目である。最近はテレビのCMでもリバースモーゲージを見かけることが多くなった。リバースモーゲージに対する需要が増えてきているのであろう。
 リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら、自宅を担保にして、金融機関から生活資金を借り入れ、自分が死亡した後に自宅を売却することにより、借入金を返済するというものである。一般的には生存中は利息の支払いのみとなる。リタイア後、住む場所はあっても、年金収入だけでは生活資金に困る、という場合の対応策のひとつである。
リバースモーゲージへ借り換えて住宅ローンの支払いを減らす
 このように、リバースモーゲージの利用は、老後生活資金を確保することが目的であるが、最近は、リバースモーゲージを利用して住宅ローンを返済する人が増えている。
 国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」によれば、新築分譲集合住宅を初めて購入した世帯の、世帯主の平均年齢は39.9歳で、新築分譲集合住宅の購入にあたり、住宅ローンを利用している人の平均返済期間は29.7年となっている。これらを単純に足して考えると、新築分譲集合住宅を初めて購入した人の、住宅ローンの平均完済年齢は69.6歳となる。なお、この調査によれば、新築分譲戸建住宅のケースでは平均完済年齢は70歳を超えるという。
 そう考えると、住宅ローンの返済が老後生活資金に与える影響は大きく、リバースモーゲージを利用して住宅ローンを返済するということにもうなずける。リバースモーゲージで借りた資金で残っている住宅ローンを全額返済し、その後はリバースモーゲージの利息を毎月支払い、元本は自分の死後に自宅を売却して返済するわけである。これにより、一般的には毎月の返済額を大幅に減額することができる。
出典:
リバースモーゲージを利用する際の注意点
 リバースモーゲージを利用する際には次のようなことに注意したい。
どのような住宅でもリバースモーゲージが利用できるとは限らない。
担保価値が低ければ利用できないことも考えられる。
リバースモーゲージでは自分の死後に自宅を売却するため、子どもなどの相続人に、自宅は引き継げないことを理解しておいてもらう必要がある。
長生きをした場合には利息の支払総額が増え、結果的に元の住宅ローンの返済よりも不利になることも考えられる。
変動金利が多いため、金利が上がれば支払う利息は増える。
リバースモーゲージでは利息の返済のみで元本は減らないため、自宅の築年数が経過して老朽化により市場価値が下がってしまい、自宅を売却して元本を返済した後に、予定していたほどお金が残らないということも考えられる。
西海 重尚(にしうみ・しげひさ)
西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級 ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、終活アドバイザーなどの資格を保有。

慶應義塾大学 経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、保険のアドバイザーとして活動中。

自己紹介用ホームページ https://fuku29390fpo.com

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