登録免許税とその必要書類について

髙野 守道
2024.03.04

 相続登記に必要な登録免許税と書類について解説します。なお、ここでは遺言による相続ではなく「遺産分割協議による相続」を前提にします。
登記申請の際にかかる登録免許税
 まず、登記申請をする際に絶対に必要になるのが「登録免許税」です。これは文字どおり「税金」なので、自分で登記申請をする場合にも、登記申請を司法書士に依頼する場合にも発生します。計算式は、不動産の価格×0.4%です。例えば、不動産価格1000万円であれば登録免許税は4万円になります。不動産の価格は、春頃に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書に記載されています。

 持分の相続であれば、持分に相当する価格だけが計算の対象になります。例えば、不動産価格1000万円の不動産について、被相続人が持分2分の1を持っていた場合は、相続の対象はその持分2分の1ですから、不動産価格も1000万円の2分の1になり、500万円×0.4%、つまり2万円になります。

 非常にシンプルな計算式なので計算は楽ですが、もっと簡便な目安としては、不動産価格1000万円なら4万円、2000万円なら8万円、3000万円なら12万円と覚えてしまえば、ある程度の目安になるかと思います。

 また、価格が100万円以下の土地の場合は非課税になるという特別措置もありますので、覚えておいてください。
必要となる書類は?
 一般的に次のような書類が必要になります。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本
相続人全員の現在の戸籍謄本
相続人全員の印鑑登録証明書
遺産分割協議書
不動産を取得する人の住民票
固定資産税の課税明細書または評価証明書(不動産の価格がわかるもの)
 この中で重複する書類は一通で構いません。例えば、被相続人の最後の戸籍に相続人の一人である配偶者も入っている場合などは、被相続人の最後の戸籍であり相続人の現在の戸籍でもあるので、一通で結構です。

 これらの書類を揃えましたら、登記申請書(法務局のHPに記載例があります)を作成し、法務局に持っていけば登記申請が可能でしょう。もちろん、遺産分割協議書の記載が間違っていれば登記はされないでしょうし、登記申請書に誤字脱字がある場合などは、その補正を求められることも考えらえます。

 また、現在の登記簿の状態によっては、上記の書類以外を求められることもあります。例えば、被相続人の氏名や住所が違う、現在の名義人が被相続人の父だったというような場合には、唯一の登記の専門家である司法書士に相談するとよいでしょう。
髙野 守道(たかの・もりみち)
川のほとり司法書士事務所
司法書士

23歳からタクシー運転手になり34歳で個人タクシーを開業。開業2年後の東日本大震災をきっかけに司法書士試験の勉強を開始し、2015年合格。翌年に登録し、昼は司法書士、夜は個人タクシーという二足の草鞋を3年間続け、2019年から司法書士に一本化。地元葛飾において、成年後見、相続を中心に執務中。

若いころに勉強をしなかったことが功を奏し、中年になって勉強に目覚める。日本成年後見法学会、日本登記法学会、日本障害法学会などに所属する傍ら、大学の通信教育も受けている。元野球部でお笑い芸人を目指したこともあるなど、その声の大きさを活かし、相続・成年後見・遺言に関する講演実績も多数あり。

川のほとり司法書士事務所
https://sites.google.com/view/kawanohotori-office/

▲ PAGE TOP