第三者承継(M&A)に要する期間の一例~時間的余裕を~

山崎 美穂
2024.03.07

 小規模の企業がもし第三者承継(M&A)で後継者候補を探した場合、どの位の期間を要するのか?

 今回は、マッチングサイトを利用して、小規模の企業が後継者候補を探した場合の一例を期間にフォーカスしてお伝えしたい。
進行工程の一例
 小規模の企業がM&Aマッチングサイトを利用して後継者候補を探した場合、下記のような工程となることが多い。
1.
事前準備(約2週間)
2.
マッチングサイトに社名や地域等を特定されないよう幅を持たせた企業情報(概要書)で情報登録
3.
後継者候補からのアプローチを基に交渉開始(約1~2か月)
4.
トップ面談
5.
基本合意の締結
6.
企業調査-デューデリジェンス-(約2週間)
7.
最終条件の確認・契約の締結・会社の引き渡し(約1か月)
 1~7までで約4か月程度かかる。

 会社の規模や業種・事業内容・社歴など、会社の構成要素によっても期間は左右されるので、あくまで一例である。

 また、上記は経験豊富なM&Aアドバイザーに依頼し、支援を受けた場合を想定している。不慣れな方が対応するとなると、もう少し期間がかかる可能性がある。
なぜ事前準備に約2週間?
 事前準備はとても重要なので、入念に実施頂きたい。

 第三者承継の場合、親族内承継と違い、自社のことを知らない、場合によっては業界についても知らない他者に譲渡をすることになる。

 そのため、社内のあらゆる情報を洗い直し、整理し、それを開示することが重要である。

 例えば、会社の重要な契約書・規程、設備や許認可があれば承継前に開示し、最終的に後継者候補に渡すことになる。承継前に整理しなければならない、「私的経費の整理」「株主の整理」などがあれば、更に準備の量・期間も増す。

 ご注意頂きたいのは、交渉の前半でなく、交渉の後半でネガティブな重要事項を伝えることになってしまった場合、後継者候補の不信感に繋がりやすく、最悪、破談の可能性もあり得るということである。故意ではなくても、「もしかしたらまだ何か大切な情報やリスクがあるのかもしれないのでは…?」という疑念を持たれてしまうと、それを払拭するのは容易ではない。

 【必要情報を包み隠さず正確に、適宜不足なくきちんと伝える】ことが重要なポイントとなる。
最良の相手と成約するには
 マッチングサイトに登録後、早ければ当日に後継者候補からマッチングがある。

 マッチングサイトを利用しての交渉の場合、最初の段階でマッチングしてきてくれた後継者候補が良い候補先であるということはよくあることで、その後継者候補との交渉・質問で慌てず正確に、かつスピーディーに回答することがより良い相手との成約に繋がってくる。

 顔を合わせて交渉しない“ネットでの交渉”だからこそ、第一印象が良くなるよう大切にして頂きたい。
十分な時間的余裕が必要な訳
 複数の後継者候補が見つかった後も数度のトップ面談等の交渉があり、特定の1後継者候補に絞り【基本合意(独占交渉)】を結び、企業調査を経て、条件をすり合わせ、最終的に候補先と条件の合意がなされなければM&Aは成約しない。

 順調に進んでいた話も、途中で後継者候補の都合でいきなり破談となったというケースも聞いたことがある。

 このため、M&Aを実施する場合は、十分な時間的余裕をもって臨むことも大切である。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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