亡くなったあと財産を譲るために考えておくべきこと

飯田 道子
2024.03.11

 2024年4月から相続登記が義務化になる等、改めて相続について考えている人もいるのではないでしょうか。特に、独身や子供がいない夫婦、法定相続人がいない人の場合等、誰に財産を引き継ぐべきか悩んでしまいますよね。そのようなときに考えてみたいのが、遺贈という方法です。
そもそも遺贈とはどのような制度? 相続とは何が違う?
 遺贈とは、亡くなった人が残した遺言に沿って、財産の一部やすべてを譲ることを言います。何だか相続と同じように感じるかもしれませんが、相続との違いは、遺言を必ず残さなければならないということであり、財産を譲る相手は法律で決められた相続人でなくても良いのです。さらには、個人でなくてもOKで団体なども指定できます。

 また、課税の面でも相違する点があります。受遺者(遺贈で財産を受け取る者)が個人の場合、遺贈により取得した財産には相続税が課税され、その点は相続と同様なのですが、たとえば、不動産を遺贈された受遺者が第三者である場合には、相続税だけでなく不動産取得税も支払わなければなりません。また、譲り受けた不動産を登記するには登録免許税が必要になりますが、その税率は相続で取得した場合は0.4%であるのに対して、遺贈で不動産を取得した受遺者が相続人以外なら2%と高い税率で課税され、金額にすると5倍もの差が出てきます(なお、受遺者が相続人の場合は相続の場合と同様0.4%の税率です)。
遺贈で渡したい相手に譲る
 このように、課税面における多少のデメリットはあるものの、前述した相続人以外の特定の個人や特定の団体に財産を譲ることができるということが、遺贈の大きなメリットと言えます。

 遺贈であれば、相続人の有無に関わらずご自身が亡くなられたあとに遺言に沿って確実に財産を譲ることができるので、大きな安心につながるのではないでしょうか。財産を譲りたい相続人以外の個人や団体がある、あるいは相続人には残したくないなら、遺贈を検討すると良いでしょう。

 相続人がいないのでどこかの団体へ遺贈したいなら、弁護士や司法書士、税理士等に相談をするのも良いですが、日本財団が運営する「日本財団遺贈寄付サポートセンター」に相談するのもひとつの手です。

 日本財団遺贈寄付サポートセンターの場合、どのような分野(例えば子供のため、被災地支援、海外支援、介護等)に遺贈したいのかを希望することで、遺贈金を100%活用することができます。現金はもちろんのこと、不動産も遺贈できる可能性はありますが、事前に税理士に相談をし、どのような税金がかかる可能性があるのかを確認しておきましょう。その他にもゴルフ会員権、リゾート会員権、美術品なども遺贈できる可能性もありますので、相談してはいかがでしょうか?

 相続を取り巻く環境が変わりつつある今だからこそ、自分の財産をどのように引き継ぐべきか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
参照:
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

▲ PAGE TOP