新入社員の勤務先企業満足度は平均75.3%

庄司 英尚
2024.05.27

「キャリアパス」「給与・待遇」「残業時間」は満足度低め
 新卒採用などの就職情報サイト「キャリタス就活」を運営する株式会社キャリタス(旧ディスコ)は、就職後の満足度や現在の就労状況について、元キャリタス就活モニター(2023年卒)で現在は就職している社会人を対象に調査を行い、「入社1年目社員のキャリア満足度調査」を今年3月に発表している。

 調査結果によると、勤務先企業への現在の満足度は平均75.3%。入社を決めた在学時調査(81.8%)から6.5ポイント減少している。満足度が高い項目は「人間関係」「有休取得」「社風」「勤務地」で、満足度が比較的低い項目は「キャリアパス」「給与・待遇」「残業時間」。例えばキャリアパスの場合、「満足」と回答したのは「とても満足」と「やや満足」を合わせた68.8%である。
入社後にギャップを感じた人は、57%
 勤務先について入社前と入社後のギャップについて質問したところ、入社後にギャップを感じた人は、「とてもギャップがあった」と「ややギャップがあった」を合わせて5割強(57.0%)であった。特に仕事内容や社風、労働環境が想像と違ったなどの悪いギャップを感じる声が多く挙がっており、これらの不満がたまり続ければ退職につながることもあるので、会社としては早めに対策を練らなければならないところである。

 配属の満足度と配属先決定時期についての質問に対しては、配属については「希望通りだったので満足」が半数超(54.8%)。「希望通りではなかったが満足している」(26.0%)と合わせると、8割が配属先に満足している。また、配属先の決定時期は「入社後」が最も多く54.3%で、「内定承諾までに」(17.8%)と「内定承諾から入社前までに」(26.4)を合わせると入社前に決定していた人も4割以上を占めていた。
転職を検討する理由のトップは「収入をあげるため」
 転職の意向について質問したところ、現時点で「転職活動中」と「転職活動はしていないが検討中」を合わせると4割超(43.0%)が「転職意向あり」となった。「転職活動中・検討中」のグループは、入社決定時と入社後では満足度の平均が約10ポイント低下しており、入社前後のギャップの大きさも影響していることが窺える。

 転職を検討する理由については、「収入をあげるため」(36.5%)が最多であるが、「自分の能力や適性に合わない」「理解(想像)していた仕事内容ではない」などミスマッチを感じる人も少なくなかったことは、企業側としても冷静に受け止めておきたい。

 企業側も新卒採用には莫大な費用がかかるので、短期間で退職してしまう人が発生しないように努めたいが、まずはこの調査結果を参考にして満足度が低いとされた項目について自社の場合はどうなのか検証してみてはいかがだろうか。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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