身体障害者手帳のメリット
2025.06.09
とかく障害者であることをネガティブにとらえがちですが、お金面についてのメリットを考えてみます。今回は特に年金受給者である65歳以上に、身体障害者手帳を取得することになった場合のさまざまな助成やサービスについて焦点を当ててみます。(65歳となっているため、障害年金は対象外)
障害者手帳の種類
障害者手帳には主に3種類があります。
・身体障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者手帳
・療育手帳
・精神障害者手帳
それぞれの手帳によってメリットは異なりますが、特に身体障害者手帳について考えます。
身体障害等級
身体障害の程度に応じて1級から6級までの等級に分かれ、1級が最も障害の程度が重くなっています。同一の等級について二つの重複する障害がある場合は, 一級上の級となります。(例:4級の障害が2つある場合は3級障害等級となる)
メリット(助成とサービス)
医療費の助成、公共交通機関の割引、税金の控除、公共料金の割引、補装具・日常生活用具の助成など等級によりさまざまな助成、サービスが受けられます。受けられる助成・サービスは各自治体により多種多様なものが提供されています。
【医療費の助成】
特に手術など負担の大きくなる医療費の助成について、自立支援医療制度があり医療費の自己負担を軽減する制度となっています。
自立支援医療の患者負担の基本的な枠組みについては、
自立支援医療の患者負担の基本的な枠組みについては、
①
患者の負担が過大なものとならないよう、所得に応じて1月当たりの負担上限額を設定。(月額総医療費の1割がこれに満たない場合は1割)
②
費用が高額な治療を長期にわたり継続しなければならない(重度かつ継続)者、育成医療の中間所得層については、更に軽減措置を実施。
上記を踏まえて、自己負担上限月額と月額医療費の負担イメージを見てみましょう。
「重度かつ継続」の範囲は、以下を参考にしてください。
○疾病、症状等から対象となる者
[更生・育成] 腎臓機能・小腸機能・免疫機能・心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る)・肝臓の機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る)の者
[精神通院]
①統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の者
②精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した者
○疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
[更生・育成・精神通院]医療保険の多数回該当の者
[更生・育成] 腎臓機能・小腸機能・免疫機能・心臓機能障害(心臓移植後の抗免疫療法に限る)・肝臓の機能障害(肝臓移植後の抗免疫療法に限る)の者
[精神通院]
①統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)の者
②精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した者
○疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
[更生・育成・精神通院]医療保険の多数回該当の者
また、図の太枠部分にある負担上限月額の経過的特例措置は、「育成医療の中間所得1、2及び「重度かつ継続」の一定所得以上の負担上限月額については、令和9年3月31日までの経過的特例措置」となっています。
医療費助成以外にも様々な助成・サービスがあります。各自治体によって異なりますので確認しておく必要があります。因みに私の住んでいる山口県防府市の場合を確認してみると、身体障害者に関係する一部ですが以下のものがありました。
医療費助成以外にも様々な助成・サービスがあります。各自治体によって異なりますので確認しておく必要があります。因みに私の住んでいる山口県防府市の場合を確認してみると、身体障害者に関係する一部ですが以下のものがありました。
主な障害者福祉制度一覧表
(山口県防府市の場合)
(山口県防府市の場合)
防府市提供資料より一部抜粋(筆者作成)
重度心身障害者医療費助成制度(カクフク)
医療費の負担をさらに軽減できる「重度心身障害者医療費助成制度(カクフク)」があります。これは各自治体により異なりますが、障害等級、所得により該当する場合があります。各自治体の窓口にご相談してみられるといいでしょう。
年金生活者にとって、医療・介護の支出は年齢を重ねるにつれ重要な問題となってきます。しかしながら障害者手帳の認定がされることによって受けることが出来るメリットにより医療費のみならず、生活費の軽減にもつながります。障害者手帳について、どんな状況になったら受けることが出来るのか、この位はダメだと思っていることも案外と手帳の対象となることがあるかもしれません。是非ともネガティブにとらえることなく、ひょっとしたら対象になるかもしれないということにも目を向けてみてはいかがでしょうか。
年金生活者にとって、医療・介護の支出は年齢を重ねるにつれ重要な問題となってきます。しかしながら障害者手帳の認定がされることによって受けることが出来るメリットにより医療費のみならず、生活費の軽減にもつながります。障害者手帳について、どんな状況になったら受けることが出来るのか、この位はダメだと思っていることも案外と手帳の対象となることがあるかもしれません。是非ともネガティブにとらえることなく、ひょっとしたら対象になるかもしれないということにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

中村 恒瑛(なかむら ひさえ)
株式会社FPオフィス縁 代表取締役
ファイナンシャルプランナーCFP®
「出きない理由より やる方法を考える」
保険・金融商品を一切売らないFPとして、固定観念にとらわれない中立的な立場から、相談者にとってのベストアドバイスをします。 「自分で考え、判断し、行動する」方法を広め、ひとり暮らしの生活不安を無くし、誰でも最期まで自分らしく生きていける社会を作ります。
消費生活相談員や県金融広報アドバイザー歴任。現在はJ-FLECアドバイザーを務める。
ホームページ:https://fpo-en.net/
Ⅹ(旧ツイッター):https://x.com/enkoya_nh
ファイナンシャルプランナーCFP®
「出きない理由より やる方法を考える」
保険・金融商品を一切売らないFPとして、固定観念にとらわれない中立的な立場から、相談者にとってのベストアドバイスをします。 「自分で考え、判断し、行動する」方法を広め、ひとり暮らしの生活不安を無くし、誰でも最期まで自分らしく生きていける社会を作ります。
2005年
55歳でファイナンシャルプランナーCFP®を取得。
2013年
相談事務所「縁小屋」を開設
2016年
「株式会社FPオフィス縁」設立
ホームページ:https://fpo-en.net/
Ⅹ(旧ツイッター):https://x.com/enkoya_nh