半数以上が職場で本音をほとんど話していない
2024.06.03
上司にも、会議の席でも本音を明かしたがらない
人と組織、労働市場に関して調査・研究などを行っている株式会社パーソル総合研究所は、3月29日に「職場の対話に関する定量調査」の結果を発表した。この調査は、職場内での種々の対話的なコミュニケーションの実態とその影響を明らかにしたものであり、本音・本心で話せない要因、話せる要因を個人レベル・組織レベルで明らかにした内容となっていることから、企業が直面するコミュニケーション問題の解決のきっかけ、従業員が互いに本音で話し合える健全な職場環境の構築に役立つ資料になりうるものといえよう。
職場での会話機会のうち、本音で話せている割合を算出すると、上司との面談でも、チーム内の会議でも半数以上の従業員が職場で本音をほとんど話していないことが明らかになった。詳しく見ると、上司との面談では41.6%が「全く本音で話していない」、9.6%が「2割未満」で2割未満の合計が51.2%を占めた。一方、チーム内の会議では43.0%が「全く本音で話していない」、9.1%が「2割未満」で2割未満の合計は52.1%とこちらも50%を超えている。
職場での会話機会のうち、本音で話せている割合を算出すると、上司との面談でも、チーム内の会議でも半数以上の従業員が職場で本音をほとんど話していないことが明らかになった。詳しく見ると、上司との面談では41.6%が「全く本音で話していない」、9.6%が「2割未満」で2割未満の合計が51.2%を占めた。一方、チーム内の会議では43.0%が「全く本音で話していない」、9.1%が「2割未満」で2割未満の合計は52.1%とこちらも50%を超えている。
半数が職場に本音を話せる相手が1人もいないと回答
職場内で本音で話せる相手の数と会話の内容について尋ねたところ、「1人もいない」と回答した割合は50.8%と、2人に1人は本音で話せる相手が職場にいないことがわかった。本音で話せる相手との関係は「同年代の同僚」が25.6%、性別・年齢は「同年代の同性」が43.6%で最も高かった。
上司には本音で話せない人が多いのは容易に想像できるが、本音を話せたと感じる会話内容で最も多かった回答も、「職場や会社に対する疑問、不満」(25.2%)であったことから合点がいく。会話内容の傾向を年代別に見ると、高齢層は「現在の仕事・職場」についての内容が高く、若年層は「キャリア関連」の内容で本音で話せたと感じている。このことから、若手従業員のために、キャリア関連について話しやすい環境を作ることも大事であるのかもしれない。
同調査では、職場内の会話に関する認識ギャップも明らかにしている。職場での対話状況認知(メンバーがどのくらい本音や自分の意見を話せているか)や、本人の本音コミュニケーション認知(自分がどのくらい本音で話せているか)を職位別に尋ねたところ、一般社員・従業員はメンバーも自身も本音を出せていないと感じている傾向があるのに対し、事業部長や役員はどちらも本音で話せていると感じている傾向が強いことが明らかになった。このような職位間のギャップは大きな問題であり、まずはこの事実を受け止めることが重要である。
上司には本音で話せない人が多いのは容易に想像できるが、本音を話せたと感じる会話内容で最も多かった回答も、「職場や会社に対する疑問、不満」(25.2%)であったことから合点がいく。会話内容の傾向を年代別に見ると、高齢層は「現在の仕事・職場」についての内容が高く、若年層は「キャリア関連」の内容で本音で話せたと感じている。このことから、若手従業員のために、キャリア関連について話しやすい環境を作ることも大事であるのかもしれない。
同調査では、職場内の会話に関する認識ギャップも明らかにしている。職場での対話状況認知(メンバーがどのくらい本音や自分の意見を話せているか)や、本人の本音コミュニケーション認知(自分がどのくらい本音で話せているか)を職位別に尋ねたところ、一般社員・従業員はメンバーも自身も本音を出せていないと感じている傾向があるのに対し、事業部長や役員はどちらも本音で話せていると感じている傾向が強いことが明らかになった。このような職位間のギャップは大きな問題であり、まずはこの事実を受け止めることが重要である。
対話や傾聴の重要性を理解し、本音を話せる組織を構築する
本音で話しにくい相手を特定し、その特徴を尋ねたところ、最も本音を話しにくい相手は、自分の話に関心を示さなそうだなどの「自分への無関心」がトップで、次が意図しない相手に話が伝わってしまいそうだといった「漏洩不安」が高かった。上司側もこのような結果を理解して、上司として信頼されるためにも日頃の言動などには注意すべきである。
パーソル総合研究所では調査結果の分析から、「多くのビジネスの現場が『本音』『対話』の欠如したコミュニケーションで覆われていることが明らかになった。表面的で本心を包み隠すようなコミュニケーションを行っている従業員は、仕事の創意工夫やはたらく幸せ実感も低く、職場改善のような仕事の変化を起こしづらくなっていることが明らかになった」とコメントしている。このような調査結果を参考にして、職場での対話や傾聴の重要性を全メンバーに伝え、本音を話せる組織を構築していくことを強く意識していく必要があるといえるだろう。
パーソル総合研究所では調査結果の分析から、「多くのビジネスの現場が『本音』『対話』の欠如したコミュニケーションで覆われていることが明らかになった。表面的で本心を包み隠すようなコミュニケーションを行っている従業員は、仕事の創意工夫やはたらく幸せ実感も低く、職場改善のような仕事の変化を起こしづらくなっていることが明らかになった」とコメントしている。このような調査結果を参考にして、職場での対話や傾聴の重要性を全メンバーに伝え、本音を話せる組織を構築していくことを強く意識していく必要があるといえるだろう。

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
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社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/