火災保険の保険料が10月にも値上げへ

高橋 浩史
2024.06.06

 2024年5月に、火災保険料値上げについての新聞報道がありました。予想される保険料の値上げ幅や、値上げの背景を見てみます。
火災保険料改定のポイントは?
 新聞報道によると大手損害保険会社4社が、10月以降に火災保険料を値上げする方向で検討しているようです。値上げ幅は、全国平均で10%前後が見込まれています。今回の改定を整理すると、ポイントは次の2点です。
1.
参考純率の引き上げ
損害保険料率算出機構では、2023年6月に住宅総合保険の「参考純率」(保険料計算のもとになる数値)について、全国平均で13%引き上げると、金融庁に改定の届け出をしています。今回の改定は、これをもとにしたものです。
2.
水災料率の細分化
参考純率の引き上げと同時に、これまで全国一律だった水災補償に関する料率を、市区町村ごとの水災リスクによって5区分に細分化されます。
自然災害の増加が背景に
 改定の背景としては、自然災害の増加や住宅の老朽化、修理費の高騰が挙げられており、近年の豪雨災害の多発で保険金の支払額は、高い水準になっているようです。

 注目されるのは水災補償の保険料が、地域のリスクに応じて変化する点でしょう。現在は、水災補償の料率は全国一律ですが、改定後は地域の水災リスクによって市区町村ごとに1等地〜5等地の5区分に分けられます。

 水災リスクが最も低い(保険料が最も安い)グループが1等地、リスクが最も高い(保険料が最も高い)グループが5等地となり、保険料が高い地域と安い地域の保険料差は約1.2倍(火災・風災・雪災・水災など全体の数値)になる模様です。

 損害保険料率算出機構によれば、こうした水災料率の細分化によって、保険契約者間の水災リスクの違いによる保険料負担の公平化を図るとしています。

 火災保険は、火災や落雷だけではなく、集中豪雨などの自然災害から住まいや家財道具を守るための保険です。近年の自然災害の発生状況をみれば、火災保険の重要性はあきらかでしょう。ハザードマップなどを活用しながら、顧客の住む地域の実情にマッチしたコンサルティングが求められます。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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