Suica、今後10年で大幅に機能拡充へ

高橋 浩史
2025.01.09

 交通系電子マネーのSuicaがデジタルプラットフォームを目指し、今後10年間でその機能が大きくグレードアップされる模様です。何が変わるのか、主な内容を見てみましょう。
ウォークスルー改札で利便性が大きく向上
 JR東日本のプレスリリースによると、Suicaを核にした「移動」「決済」「地域」の3つのキーワードによる、さまざまな生活シーンで新たな体験を提供するという長期的なプランが掲げられています。

 今後10年以内に、モバイルSuicaの位置情報をセンターサーバーで管理することで、改札口を“タッチレス”で入場・出場できる「ウォークスルー改札」や、改札機がない駅での「位置情報等を活用した改札」の実現を目指すとしています。これにより、Suicaの使えない駅でも入場・出場ができるようになるため、JR東日本全線でSuicaが利用できるようになります。また、タッチが不要になるため、大きな荷物を持っているときでも楽に入場・出場できるようになるなどが考えられます。

 さらに、Suicaとクレジットカード・銀行口座を紐づけることで、Suicaにチャージしなくても利用できる、後払い機能の実現を目指す模様です。
運賃が割安になるサブスク商品も予定
 その他、金融分野の機能拡充としては、2026年の秋頃までにモバイルSuicaのアプリが大幅にリニューアルされ、新たにコード決済機能が追加されるほか、利用の上限が2万円超に引き上げられ、個人間での送金機能も加わります。

 また、2028年頃には新しい「Suicaアプリ(仮称)」が登場予定で、運賃が割安になるほか、毎月定額制のサブスクリプション商品などの販売や、利用状況に応じたクーポン発行機能の搭載も予定されています。

 鉄道事業は、利用者がコロナ禍前の水準を下回ることや、少子化による地方の過疎化、首都圏人口の減少などが見込まれる中で、鉄道事業以外の収益確保が長期的な課題となっています。今回の発表は、その課題への回答と言ってもよさそうです。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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