類似業種比準価額株価等、4月分まで公表中

村田 直
2025.07.24

自社株評価に必要な、路線価以外の数値とは?
 令和7年7月1日に、令和7年分の路線価が公開された。土地を所有されている資産家の方などは、自分の財産の相続税評価額に影響するため、非常に気にされていると思うが、法人の場合は、「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」という資料の発表を待たれていた方も多いのではないだろうか。

 これは、自社株の評価をする際に、類似業種比準価額の計算で必要な数値であり、路線価より一足先、先月に今年の4月分までの数値が国税庁から公表された。

 ここで、自社株評価の方法を簡単に紹介しておく。

 非上場会社の場合、相続税や贈与税で利用する株価は、財産評価基本通達によって評価することとなる。

 自社株の評価をする場合、まず、議決権割合などによって、原則評価となるか特例評価になるかの判断がある。少数株主の場合には、配当還元方式という特例評価が使えるため、原則評価より大幅に株価は低くなることが多い。自社株対策を行う場合、この特例評価をうまく使えると株式移転にかかる税金は少なくて済む。
自社株評価は複雑、だからこそ定期的に評価を
 ただ、非上場会社のオーナーであれば、原則評価となることが大半だろう。その場合は、純資産価額方式と類似業種比準方式のいずれか、又は両方式を併用する方式によって評価する。

 純資産価額方式は、分かりやすく言えば、簿価純資産ではなく時価純資産によって評価する方法で、土地は冒頭の路線価、生命保険であれば解約返戻金などによって、資産・負債を全て時価によって評価する方法である。

 一方、類似業種比準方式は、配当、利益、純資産の3要素について、同業種の上場会社の平均値と比較して評価する方法で、この計算に必要なのが、冒頭の「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」である。

 純資産価額方式と類似業種比準方式のどちらを使うか、あるいはどれぐらいの割合で両方式を併用するかは、会社規模によって定められている。例えば、大会社(従業員数70人以上など)であれば、純資産価額と類似業種比準価額のいずれか低い方で評価する。

 しかし、一般の評価会社ではなく、特定の評価会社(※)となればその評価方法は変わる。

 株価計算は複雑であるため、なかなか自社でできることではない。専門家に依頼して計算してもらわなければならないが、経営者にとって非常に重要な数値であるため、定期的に評価してもらい、その数値を把握しておくことをお勧めしたい。
特定の評価会社とは、総資産価額に占める株式等の割合が50%以上の会社や総資産価額に占める土地等の割合が70%以上または90%以上(会社規模による)の会社などが挙げられる。
参考:
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士

大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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