発生主義へ移行するにあたり、実施のポイントを二つご紹介する。

（1）売掛金、買掛金、未払金勘定の使用
 掛け取引の場合は、取引発生時に「受取手形」「売掛金」という将来お金を受け取ることができる権利を取得したという記録の仕方を行う（発生主義）。また、商品等の仕入や、費用も発生時に現金の支払ではなく翌月や翌々月という場合には、「買掛金」「未払金」等の勘定を使って記録する。

（2）減価償却費の計上
 減価償却費とは、売上や利益を上げるために、購入した固定資産の金額を、使用可能年数（耐用年数）にわたって、1年ずつ割り振った金額である。例えば耐用年数10年の機械を1,000万円で購入した場合、買った年に1,000万円計上する（現金主義）のではなく、毎年100万円ずつ10年間にわたって計上する（発生主義）ことで会社の実態を表すことができる。減価償却費の計上を年度末の決算時に行ったら利益金額が大きく変動してしまったという経験をされた経営者もおられるだろう。減価償却費は、年度末の決算時に計上するではなく、毎月計上することがポイントである。

 この考えは、年払保険料や賞与などについても適用できる。

 最後に、在庫金額が毎月大きく変動する場合は、在庫を毎月洗替することで、正確な月次決算を経営に活かすことができる。