産前産後休業、育児休業にかかる申出書の注意点

庄司 英尚
2025.10.06

保険料免除のためには事業主から申出をしないといけない
 日本年金機構では、事業主及び厚生年金保険被保険者に年金制度等に関する情報の提供のため、毎月「日本年金機構からのお知らせ」を社会保険加入事業所へ送っている。一緒に送られる「社会保険事務のポイント」は実務に役立つ情報を紹介しているので、人事労務に携わる担当者は目を通してほしい。

 「社会保険事務のポイント」Vol.10(令和7年9月号)では、「産前産後休業」と「育児休業」にかかる申出書を取り上げている。今回はそのポイントをまとめておくこととする。

 何よりも大事なことは産前産後休業期間や育児休業期間における健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主から日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に申し出ることにより、被保険者・事業主の両者とも負担が免除されるという点である。なお、この免除期間は、被保険者の将来の年金額を計算する際には、保険料を納めた期間として扱われる。
産前産後休業及び育児休業期間中の保険料免除
 産前産後休業及び育児休業の期間中の保険料は下表のように免除される。
出典:
社会保険事務のポイント Vol.10(令和7年9月号)
産前産後休業期間中の保険料免除の注意点
 実際には産前産後休業開始時に申出をするのが原則となるが、出産予定日どおりに出産した場合は別であるが、出産後に変更の届出が必要となることを覚えておきたい。また、この申出は、産前産後休業期間中における給与が有給・無給であるかは問わない。

 なお、産前産後休業期間中の保険料免除は、社会保険料(健康保険と厚生年金保険)は免除になるが、雇用保険料・労災保険料は対象外となっているので誤解しないこと。

 また、今回は協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入している会社向けの案内のため、届出先は日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所となるが、協会けんぽ(全国健康保険協会)ではなく健康保険組合に加入している場合は、日本年金機構と併せて加入先の健康保険組合にも同様の提出が必要となり、書式も違ってくるので所属する健康保険組合に事前に相談しながら丁寧に進めるように心がけたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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