個人向けリスキリングへの補助について

岡﨑 一恵
2026.06.15

 急速なデジタル化や産業構造の変化により、新しいスキルや知識を学び直す「リスキリング」が欠かせない時代になりました。しかし、単なる資格取得や趣味の学習とは異なり、リスキリングによって新たなスキルを身に付けるための費用負担は、決して軽くありません。今回は、個人が活用できる補助制度について、対象者や助成内容、申請方法を解説します。
「教育訓練給付金」は目的別に3区分
 「教育訓練給付金」は厚生労働省が実施する制度で、雇用保険加入者や離職後一定期間の方が対象です。この制度には「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があり、それぞれの概要は次の通りです。
一般教育訓練給付金
資格取得を目標とする講座など、比較的幅広い講座が対象です。
受講費用の20%(上限10万円)が受講者に支給されます。
特定一般教育訓練給付金
速やかな再就職や、早期のキャリア形成に役立つ講座が対象です。
最大で受講費用の50%(上限25万円)が受講者に支給されます。
専門実践教育訓練給付金
最も手厚い支援で、最大で受講費用の80%(年間上限64万円)が受講者に支給されます。対象講座には、看護師や介護福祉士などの国家資格取得を目標とする講座、専門学校の課程などが含まれます。
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?
 「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は経済産業省の事業で、「キャリア相談対応」「リスキリング提供」「転職支援」を一体的にサポートします。

 補助内容は、講座の受講費用(税別)の2分の1相当額(上限40万円)が基本です。実際に転職後1年間継続的に転職先に就業していることを確認できる場合、追加的に受講費用の5分の1相当額(上限16万円)が支給され、最大56万円の補助を受けられます。

 受講修了期限は2027年3月末で、受講期間が長い場合は早めの行動が必要です。また、転職を目指す方が対象のため、離職前でなければ対象とならない点にも注意が必要です。
教育訓練給付金の申請から受給までの流れ
 教育訓練給付金を例に、申請から受給までの流れを説明します。対象の教育訓練は約17,000講座あり、具体的な講座は「教育訓練給付制度検索システム」で検索できます。

 受講費用は、受講者がいったん全額を支払い、その後に補助を受ける後払い方式です。受講修了日の翌日から1か月以内にハローワークに支給申請を行います。なお、専門実践教育訓練給付金は、受講開始日から6か月ごとに申請・支給されます。

 専門実践教育訓練または特定一般教育訓練を受ける場合は、訓練前にキャリアコンサルティングを受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認手続きを行う必要があります。
リスキリングを成功させるには
 リスキリングを成功させるには、具体的な目標を持ち、継続できる環境を整えることが大切です。これらの補助を活用することで、リスキリングは「負担の大きな出費」から「将来への大きな投資」になるでしょう。
参考:
岡﨑 一恵(おかざき・かずえ)
社会保険労務士岡崎一恵事務所 代表
社会保険労務士
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®認定者

滋賀県大津市出身。同志社大学卒業後、地方銀行の人事部に勤務。
子育てのブランク9年と、紆余曲折の後、社会保険労務士として2018年開業。
2021年CFP®認定者として登録、2023年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2024年日本FP協会FP広報センタースタッフを務める。
NPO法人障害年金支援ネットワークに所属。
地元横須賀の中小企業の労務管理と、障害年金代理請求業務、障害年金を受給されるご家庭のライフプラン相談に取り組む。

公式サイト https://www.okazakikazue.net/

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