事例に学ぶがん検診の重要性

高橋 義人
2026.07.30

 現在、国は胃がん・大腸がん・肺がん・子宮頸がん・乳がんの5つのがん検診の受診を推奨しています。なぜこの5つのがんが対象なのかご存じでしょうか。

 これらのがんは、早期に発見できた場合の5年(相対)生存率が高いという明確なエビデンスがあります。全国がんセンター協議会の「部位別臨床病期別5年生存率(2011~2013年診断症例)」によると、胃がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんについては、転移のない早期の段階で見つかった場合の5年生存率は90%を超えており、肺がんでも80%を超えています。

 がん検診は症状がないときに受けるもので、自分のためだけでなく大切な人を守ることにもつながります。読者の皆さんはがん検診を受けていますか?受けているとしたら、ご家族は?ご兄弟は?ご友人たちはいかがでしょうか?

 もし受けていない人がいたら、皆さんからも受診を勧めてください。今回はがん検診の重要性を痛感した実際の事例をご紹介します。
事例1:大腸がんが転移した30代女性
 最初の患者さんは、北関東にお住いの32歳の女性です。私の友人である女性の姉から連絡があり、ご自宅で話を伺うことになりました。5歳・3歳・2歳の3人のお嬢さんの明るい笑顔で迎えていただき、母親である患者さんが立ち上がるたびに3人が後を追うという、ほほえましい光景の中でお話を伺いました。

 しかし、患者さんの状態は芳しくなく、大腸がんが他臓器に転移し、治療による回復は難しいと思われるような状況でした。前述の通り、大腸がんは転移のない状態で発見できれば5年生存率は90%を超えます。そして、患者さんのご主人は大手企業にお勤めで、希望すれば健康診断やオプションでのがん検診等が受けられる状況だったそうです。

 患者さんは「子供のことで忙しくて自分のことを考える余裕がなく、まさか自分ががんになるとは考えてもいませんでした。」とおっしゃっていました。長女が生まれて以降、健康診断は一度も受けていなかったそうです。

 本当に忙しかったのだと思いますし、同じような状況の方は、同じように考えてしまうかもしれません。しかし前述の通り、健康診断やがん検診等は症状がないときに受けるものです。「自分は大丈夫」と過信せずに時間を作り、検査を受けていただきたいと思います。何も知らないお嬢さんたちの姿を見て、胸が痛くなりました。
事例2:胃がん・前立腺がん・すい臓がんを併発した70代男性
 一方で、胃がん(発症時72歳)・前立腺がん(同75歳)・すい臓がん(同79歳)という3つのがんが、それぞれ原発腫瘍として見つかった患者さんがいました。

 「がんを3つも・・・」と驚かれる方もいると思いますが、この方は毎年の健康診断とその結果に伴う精密検査、がん検診を定期的に受診していたため、すべてのがんを早期に発見できました。その結果、89歳になった今でも元気に過ごされています。

 この事例は、早期発見の重要性を象徴していると思います。そして早期発見により、予後不良とされるすい臓がんであっても克服できる可能性があることも、ぜひお客様に伝えてください。
すべてのお客様に、健診やがん検診の受診有無の確認を
 早期発見の重要性については十分ご理解いただけたと思います。しかし、日本のがん検診の受診率は欧米諸国と比べて極めて低い状態が続いています。一人でも多くの方の命を救うためにも、お会いするすべてのお客様に対し「がん検診や健康診断を受診されていますか?」と確認していただきたいと思います。がんの早期発見のためには、皆さんのお力も必要です。

 今回は「がんの早期発見の重要性とそのためのがん検診の重要性」についてお話しさせていただきました。
高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長

1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp

▲ PAGE TOP