住宅ローンの完済年齢、上昇傾向に!

高橋 浩史
2020.11.09

 住宅ローンの完済計画年齢が上がっているようです。その要因や、将来に向けて必要なことは何でしょうか?
住宅ローン完済年齢が70歳オーバー
 10月の新聞報道で、「住宅ローンの完済年齢上昇」という記事がありました。新聞記事によると、2020年度の住宅ローンを借り入れした人が、ローンを完済する計画年齢は平均73.1歳で、2000年度の68.3歳から20年間で約5歳上昇。住宅金融支援機構のデータをもとにした調査だそうです。
 完済年齢が上がっている要因としては、報道では「晩婚化」「住宅価格の上昇」「返済期間の長期化」の3点を挙げています。
 また、2000年代前半では、住宅ローン借入時の平均年齢は37~38歳でしたが、2020年度の平均は40.4歳に。また、平均融資額も1,900万円から3,100万円と、20年間で1,200万円増えています。さらに、返済期間も、2020年度は平均32.7年と過去最長です。
定年後も返済が続けば家計のリスクに
 今後も晩婚化や住宅価格の上昇が続けば、完済年齢は上がるかもしれません。
 例えば、住宅価格が上がると、住宅ローンの借入額は増えることが予想されます。借入額が増えれば総返済額も増えるため、毎回の返済額を抑えるために、返済期間を長くするという連鎖が考えられるからです。
 こういった流れを反映してか、ほとんどの銀行で住宅ローンの完済時年齢を80歳未満としている中、ソニー銀行では、完済時年齢を85歳未満としています。今後も、住宅購入年齢の上昇を見込んでいるのかもしれません。
 高年齢者雇用安定法の改正で、今後70歳定年が視野に入る中、働ける期間は延びる傾向にあります。とはいえ、定年後の収入は大きく減少するのが一般的です。住宅ローンの返済が70歳超まで続くことは、老後の家計にとってリスクといえます。
 家計のリスクを回避するために、住宅購入を考える場合には、ライフプランに基づいた購入予算を立て、頭金を多く、ローン借入れは最小限にするなど、身の丈に合った予算を考えることが重要になります。

 また、定年後も長く働くことで老後期間を短くすることも家計リスク回避のために大切になるでしょう。そしてもう1つ、若い頃からの投資や運用などで、将来の資産寿命を伸ばすことも重要なポイントです。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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