寡婦年金と死亡一時金、どちらを選ぶ?
2025.08.18
一般的に、「遺族年金」といえば「遺族厚生年金」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、働き方が多様化する現在は、会社員ではなく個人事業主やフリーランスとして働く人も多く、こうした方たちは国民年金の第1号被保険者となります。そこで今回は、国民年金の独自給付制度である「寡婦年金」と「死亡一時金」についてお伝えします。
しかし、働き方が多様化する現在は、会社員ではなく個人事業主やフリーランスとして働く人も多く、こうした方たちは国民年金の第1号被保険者となります。そこで今回は、国民年金の独自給付制度である「寡婦年金」と「死亡一時金」についてお伝えします。
寡婦年金と死亡一時金
寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったとき、その夫と原則10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻が受けることができます。受け取れる期間は60歳から65歳になるまでです。
ただし、上記の要件を満たしていたとしても、下記の場合は請求できません。
・夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取ったことがある
・妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている
・妻が他の年金を受け取っている(その場合はどちらか一方を選択して受給)
年金額は、夫の死亡日前日までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)期間から、老齢基礎年金の計算方法により算出した額の4分の3になります。
死亡一時金は、死亡日の前日において、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間が原則36か月(3年)以上ある方が、年金を受け取らないまま亡くなった場合の一時金です。生計を同じくしていた遺族が受給できます。
寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取ることができる人は、どちらか一方を選ぶことになります。
ただし、上記の要件を満たしていたとしても、下記の場合は請求できません。
・夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取ったことがある
・妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている
・妻が他の年金を受け取っている(その場合はどちらか一方を選択して受給)
年金額は、夫の死亡日前日までの第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)期間から、老齢基礎年金の計算方法により算出した額の4分の3になります。
死亡一時金は、死亡日の前日において、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間が原則36か月(3年)以上ある方が、年金を受け取らないまま亡くなった場合の一時金です。生計を同じくしていた遺族が受給できます。
寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取ることができる人は、どちらか一方を選ぶことになります。
どちらを選ぶべき?
死亡一時金は、保険料を納めた月数に応じて12万円~32万円の範囲で支給されます。一方、寡婦年金は60歳から65歳になるまで受給できるため、一般的には寡婦年金の方が支給額は多くなります。
例えば、夫の国民年金の保険料納付済期間が10年(120か月)で、夫の死亡時に妻の年齢が60歳だった場合、死亡一時金は12万円、寡婦年金は約78万円(83万1,700円×(120か月÷480か月)×3/4×5年)です(2025年度の年金額で計算)。
上記の場合、寡婦年金の受給期間が5年間ということもあり、受け取る金額から考慮すると寡婦年金を選択すべきと思われますが、受け取る人の年齢や想いによっては死亡一時金を選択する人もいます。
寡婦年金は、再婚などにより婚姻関係を結ぶと受給資格を失います。30代・40代のような若い人でも60歳になってから寡婦年金を受給できますが、受け取るまでの期間が長いため、例えば、「気持ちを整理したい」「再出発したい」というような状況では、寡婦年金を選択せずにあえて死亡一時金を選択する人も少なくありません。こうした選択は金額のみで判断できるものではなく、本人の心情や今後の生活設計なども踏まえる必要があります。単に金額だけをお伝えすれば良いというものではないのが難しいところです。
例えば、夫の国民年金の保険料納付済期間が10年(120か月)で、夫の死亡時に妻の年齢が60歳だった場合、死亡一時金は12万円、寡婦年金は約78万円(83万1,700円×(120か月÷480か月)×3/4×5年)です(2025年度の年金額で計算)。
上記の場合、寡婦年金の受給期間が5年間ということもあり、受け取る金額から考慮すると寡婦年金を選択すべきと思われますが、受け取る人の年齢や想いによっては死亡一時金を選択する人もいます。
寡婦年金は、再婚などにより婚姻関係を結ぶと受給資格を失います。30代・40代のような若い人でも60歳になってから寡婦年金を受給できますが、受け取るまでの期間が長いため、例えば、「気持ちを整理したい」「再出発したい」というような状況では、寡婦年金を選択せずにあえて死亡一時金を選択する人も少なくありません。こうした選択は金額のみで判断できるものではなく、本人の心情や今後の生活設計なども踏まえる必要があります。単に金額だけをお伝えすれば良いというものではないのが難しいところです。

三角 桂子(みすみ・けいこ)
社会保険労務士法人エニシアFP 代表社員
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/
FP・社会保険労務士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルとあらゆる立場を経験し、FPと社会保険労務士として開業し、5年目に法人化(共同代表)。
FPと社会保険労務士の二刀流を強みに、法人・個人の労務、年金の相談業務やセミナー、執筆など、幅広く行っている。
常に自身の経験を活かし、丁寧な対応を心がけ、生涯現役に向かって邁進中。
法人名はご縁(えにし)に感謝(ありがとう)が由来。
公式サイト https://sr-enishiafp.com/