介護でリフォームする時に使える制度について

森田 和子
2025.08.18

 介護が必要になると、住み慣れた家であっても、手すりのない階段の上り下りや、段差を超えることに不安を感じるようになります。介護が必要になった人が住み続けられるようにするリフォームを支援する制度があるので、内容を確認していきましょう。
公的介護保険の住宅改修費
 日本には公的な介護保険制度があり、40歳以上の人が加入しています。要介護・要支援と認定された65歳以上の人、または、特定疾病により要介護・要支援と認定された40歳以上65歳未満の人が介護保険制度の介護給付を受けることができます。介護給付には、訪問介護やデイサービスセンターへの通所介護などの居宅サービスと、介護老人福祉施設などの施設サービスなどがあり、所得に応じて1~3割の自己負担で利用することができます。介護給付には、住宅の改修について利用できる住宅改修費もあり、要件を満たす場合に支給されます。
自己負担額を除く工事費用を給付
 対象になるのは、要介護1~5または要支援1、2の認定を受けている人が、介護保険被保険者証に住所として記載されている住宅について以下の改修を行う場合です。
(1)
手すりの取付け
(2)
段差の解消
(3)
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
(4)
引き戸等への扉の取替え
(5)
洋式便器等への便器の取替え
(6)
その他(1)~(5)の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
 20万円までの工事費用が対象で、その1~3割が自己負担額となり、残りの9~7割が介護保険の住宅改修費として支給されます。対象となる費用が20万円に達するまで複数回の申請も可能です。なお、工事金額が20万円を超えている場合は、超えた部分が全額自己負担となります。

 また、転居して住所が変わった場合や、1回目の住宅改修から、要介護度が3段階以上上がった場合には、過去に住宅改修費の支給を受けている場合でも新たに20万円までの費用を対象として保険給付を受けることができます。
仕事や趣味のための改修は対象外
 介護が必要な人が自立した日常生活を送ることができるように支援することを目的としているため、要介護・要支援の認定を受けていない場合や、趣味や仕事などの本人の生きがいや生活等を充実させるための改修などは対象外です。

 住宅改修費の給付を受けるためには、基本的には事前の申請が必要になります。まずは、担当のケアマネージャーに相談するところから始めてください。担当のケアマネージャーがいない場合には、地域包括支援センターに相談してみましょう。
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

ライフプランシミュレーションとマイホーム・老後の資金計算
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