子の看護休暇と介護休暇、来年から時間単位で取得可能に

庄司 英尚
2020.11.16

原則としてすべての従業員が対象に
 育児・介護休業法施行規則等が改正され、2021年1月より子の看護休暇と介護休暇について、時間単位で取得できるようになる。これまでは子の看護休暇と介護休暇は1日ないしは半日単位での取得だったが、さらに使い勝手がよくなる。
 また、対象者については、これまでは1日の所定労働時間が4時間以下の従業員等は除かれていたが、今回の改正により原則としてすべての従業員が対象となった。ただし、業務の性質や実施体制に照らし、1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する従業員については、労使協定を締結することにより、時間単位での取得の申出を拒むことができる。困難と認められる業務の範囲については労使で十分に話し合って定めるように案内しており、一律に1日の所定労働時間が4時間以下の従業員であるからといって、時間単位で取得できるはずの従業員を除外扱いとすることは適当ではないとしているので、この点も注意しておかなければならない。
子の看護休暇及び介護休暇とは?
 子の看護休暇とは、小学校に就学する前の子を養育する従業員を対象に、育児介護休業法において定められた休暇となっており、1年度に5日を限度(2人以上の場合10日)として取得することができる。主に、病気やケガをした子の看護をするためや、子に予防接種や健康診断を受けさせるために利用してもらう休暇制度である。
 一方で介護休暇とは、病気やケガ、高齢といった理由で要介護状態になった家族の介護や世話をする従業員を対象に、育児介護休業法において定められた休暇のことをいい、対象となる家族の範囲は、配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母となっている。看護休暇と同様に1年度に5日を限度(2人以上の場合10日)として取得することができる。
 いずれにしてもこれらの休暇に関してその取得した日については、有給か無給かについては、法律上の定めはないので無給としている会社が多いのが現状だ。仮に有給とする場合には就業規則にしっかりと規定し、さらに法律を上回る休暇日数を設けるのも会社の自由なので検討してみてもよいだろう。
 これらの休暇制度は従業員の権利として保護されているので、取得したことを理由に人事評価を下げたり、賞与や昇給などに影響させたりしてはいけないので運用面では十分に注意したい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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