新型ウイルスにより約7世帯に1世帯は子どもの進路に影響あり
―令和2年度「教育費負担の実態調査結果」より

小沢 美奈子
2020.11.19

 令和2年度の「教育費負担の実態調査結果」が、国の教育ローンの運営母体である日本政策金融公庫より発表されました。調査によると、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、約7世帯に1世帯が「子どもの進路などに影響があった」との回答がありました(※)。
 また「具体的な影響」について上位4つ(複数回答方式)を挙げると、「海外留学をあきらめた(または、海外留学中であったが学校を退学・休学した)」が28.7%と最も多く、「自宅以外からの通学をやめて自宅から通学することになった」が24.4%、「学校を変更した」が14.6%、「進学をあきらめた(または、在学中の学校を退学・休学した)」が8.7%となっていました。今年は新型コロナウイルスが、子どもの進路に深刻な影響を及ぼしたことが分かります。
高卒以上の子どもがいる世帯に対する設問
高校から大学までの教育費は965.1万円で前年より26万円増加
 一般的に高校から大学までは教育費による支出のピークと言われている時期です。同調査より教育費の平均額を確認してみましょう。高校から大学卒業までの入学費用と在学費用における累計額は965.1万円となっています。この額は前年に調査した939.1万円より26万円増加している状況で、主な要因は授業料等の大学の在学費用が増えていることが挙げられています。

 昨年より増加している教育費用ですが、その捻出方法を確認してみたいと思います。3つまでの複数回答方式によると、最も多かったのが「教育費以外の支出を削っている(節約)」が29.5%。次に「子ども(在学者本人)のアルバイト」が21.5%、さらに「預貯金や保険などの取り崩し」が20.4%、「奨学金を受けている」が18.6%と続いています。
家計の急変に対応できる教育費の準備法とは?
 今年のような新型コロナウイルス感染症による家計や教育費への影響は、滅多に起こらないことかもしれませんが、外的な要因による急変は今後も起こり得ることだと言えます。教育費は、時期が来ると必ず出ていくお金です。大切なのは、教育費をその都度節約などの家計のやりくりでどうにか捻出するのではなく、普段の家計支出とは切り分けて、事前に準備しておくことではないでしょうか。具体的な準備方法には、子どもが生まれたらすぐに教育費のための積み立てを始めることや、児童手当を使わずに教育費として貯めておくことなどが考えられます。また、近年は国による給付型の奨学金の拡充が図られています。制度を利用するためには、事前に情報収集や申込期限を逃さないことが要となってきます。このような積み重ねが、いざという時の教育費における揺るぎない基盤となります。
出典:
小沢 美奈子(おざわ・みなこ)
K&Bプランニング代表 ファイナンシャルプランナー(AFP)/ライター

法政大学卒業後、損害保険会社にて、人材教育部門で社員教育・研修講師など約12年間勤務の後、外資系損害保険会社で営業職に就く。ファイナンシャルプランナー取得後は、独立系FP事務所、住宅メーカーを経て独立。
Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングを行うほか、フォトライターとしても活躍。趣味はカメラ。

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