自分には本当に関係ない? 確定拠出年金の加入可能年齢の拡大

森田 和子
2020.11.30

 2022年5月より、確定拠出年金の加入可能年齢が拡大されます。企業型の確定拠出年金に継続して加入する人の他、60歳以降に国民年金に任意加入する人も対象になります。これまでiDeCoの利用を見送ってきた人も再度検討してみる価値があります。内容を確認していきましょう。
個人型は65歳、企業型は70歳まで拡大
 確定拠出年金は、掛金を積み立てて運用し、60歳以降に年金を受け取る制度です。老後資金作りの自主的な努力の支援が目的となっており、積み立てる時も、資金を受け取る時も税金面で優遇されます。現在、加入できる年齢は20歳以上60歳未満ですが、高齢期の就労が拡大していることなどを踏まえ、一定の条件を満たせば2022年5月からは20歳以上65歳未満に拡大されます。
 確定拠出年金には、掛金を事業主が拠出する企業型と、加入者自身が拠出する個人型(iDeCo・イデコ)があります。
 現在でも企業型は、規約に定めがあれば60歳前と同じ事業所で継続して働く場合に65歳未満までの加入が認められています。2022年5月からは、継続勤務でなくても最長70歳未満へと拡大します。
 個人型のiDeCoを利用できるのは60歳未満ですが、2022年5月からは60歳以上でも厚生年金保険に加入して働く会社員・公務員や、国民年金に任意加入する人は65歳未満まで利用できるようになります。
国民年金の任意加入制度とは
 国民年金は、20歳以上60歳未満の人に加入義務があるため、60歳以降は加入する必要がありません。しかし、60歳以降も特別に加入できる任意加入制度があり、加入期間が短いために国民年金の老後の年金(老齢基礎年金)を受給する資格のない人や、保険料を納めた期間が40年間よりも少なく、満額の年金を受給できない人などが利用できます。
 例えば、大学時代に国民年金の保険料を納めていなかった期間が2年ある人は、老齢基礎年金が満額ではなく、2年分減額された金額になります。しかし、任意加入被保険者として60歳以降に2年間保険料を支払えば、年金額は満額となります。この2年間はiDeCoの掛金を拠出することもできるようになり、ダブルで年金を増やすことができます。

 確定拠出年金の受給開始についても、現在は60歳から70歳の間となっていますが、2022年4月からは、60歳から75歳の間で選択できるようになります。掛金を積み立てる期間や、いつ受け取りを開始するかの選択肢が増えるので、これまで積立期間が短いために確定拠出年金の利用を見送ってきた人も再度検討してみるとよいのではないでしょうか。
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/

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