住宅ローン減税の特例を令和4年12月末まで延長

浅野 宗玄
2021.01.07

40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模物件も適用対象に
 令和3年度税制改正では新型コロナウイルス感染症で経済が落ち込む中で、個人や企業を支援するための減税措置が多くあるが、その一つに住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)について要件の緩和等の改正がある。

 令和3年度の与党税制改正大綱によると、令和元年10月からの消費税率10%への引上げに伴う反動減対策の上乗せとして、控除期間を通常の10年から13年とした特例措置が令和4年12月末まで延長される。

 この適用にあたっては、一定期間内(新築の場合は令和2年10月から3年9月末まで、それ以外は2年12月から3年11月末まで)に契約し、令和4年12月末までに入居する必要がある。また、住宅ローン控除の適用要件である床面積が、現行制度の50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和される特例措置が講じられ、新たに床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の小規模物件も適用対象とされる。
小規模物件は1,000万円以下の所得制限あり
 ただし、この小規模物件については、納税者の所得制限が3,000万円以下から1,000万円以下に引き下げられるため、対象者はある程度絞られそうだ。この特例措置は今回の延長期間に限られている。

 現行制度の床面積50平方メートル以上(所得制限3,000万円以下)の規定はそのままで、床面積40平方メートル以上については所得制限が1,000万円以下と厳しくなるものの、住宅ローン減税の恩恵を受けることができるようになるわけだ。

 所得税から控除しきれない額については、現行制度と同じく控除限度額の範囲内で個人住民税から控除することができる。
控除額が年間の利息合計より上回る問題
 他方、住宅ローン控除は、原則、年末時点の借入金残高の1%を税額控除する制度だが、昨今では借入利率が1%を切るという住宅ローンも多く、毎年の住宅ローン控除の控除額が年間の利息合計より上回っている状態が生まれている。

 会計検査院の平成30年度決算検査報告(令和元年11月)においては、この「ローンを借りたほうが得」になる状態が、不必要なローンを組む・繰上げ返済をしない誘因になる、として問題視していた。

 この点については、年末時点の借入金残高の1%か、その年に支払う利息合計の少ないほうを控除額にするなど、現行制度の控除額等の在り方を令和4年度税制改正で見直すこととされている。
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php

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