緊急事態宣言を受けての役所等の対応

庄司 英尚
2021.01.18

 政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、東京、埼玉、千葉、神奈川に加え、栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡についても緊急事態宣言を発令した(合計11都府県、1月14日現在)。期間は2月7日までの約1か月間となっている。飲食店に限らず各企業もその対応に追われていることから、今回は宣言を受けての厚生労働省に関連する各役所の窓口の対応、そして各企業の従業員への対応などの注意点についてまとめておきたいと思う。
事務所等の一時的閉鎖に注意を
 緊急事態宣言が出ていても全国の都道府県労働局、労働基準監督署・ハローワークは原則として開庁しているが、できる限り電話、郵送、インターネットを活用するように促している。利用者が所管の労働基準監督署やハローワークにわざわざ行かなくても、電話による労働相談、電子申請・郵送での各種届出・申請、インターネットを通じた情報収集が可能になってきていることから利用者に感染拡大の防止のためにも協力を求めている形だ。

 社会保険関連の窓口になる日本年金機構の管轄下にある各地の年金事務所についても緊急事態宣言が発令されても原則として開所していることに変わりはない。注意したいのは、年金事務所の職員の感染などで一時的に年金事務所が閉鎖していることがあるということだ。

 せっかくわざわざ窓口に行って相談しながら進めようと思っていても、完全に閉鎖されてしまっていることがあるので注意したい。情報収集については、日本年金機構のホームページで年金事務所の情報を確認するとともに、念のために当日は電話で確認してから訪問するのがベストである。

 協会けんぽについても年金事務所同様の扱いとなっている。各支部の窓口に訪問する方は比較的少ないと思われるが、保険証の再交付申請や傷病手当金の書類をそのまま提出に行く人もいるのではないだろうか。過去には職員の感染などで閉鎖している支部の情報についてもホームページで案内されていたので、まずは確認することが大事である。
企業はテレワークの推進で出社者数7割削減が目標
 今回の緊急事態宣言の基本的対処方針として発表されているのは、テレワークを推進し職場での出勤者数を7割削減することを目指すということ。大手企業は対応が進んでいるが、中小・零細企業ではまだまだテレワークの導入が進んでおらず、政府の求めているような対応ができていないところも多い。実際に通勤の混雑などもそれほど変わっていないという声が聞こえてくる中で、企業としてはせめて時差出勤制度を導入して従業員への感染防止へも配慮することに力を入れたい。

 また午後8時以降の外出制限が発表されている状況なので、やむを得ないものは仕方ないとしても原則として時間外残業などは制限をかけて、例えば午後7時以降の残業は禁止とするなど積極的に対応を進めていきたい。

 いずれにしても社内で感染拡大させないためにも企業としてできることは何でも取り組んでいかなければならない。また社内で感染者が発生した際に、感染者が上司や周囲の人から責められるということのないよう周知してもらいたい。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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