あなたのスマホが家族を困らせる?「デジタル遺品」の備えとは

高橋 浩史
2025.07.03

 亡くなった人のパソコンやスマートフォンに残されたデータやサブスクリプション契約は、現代社会の「遺品」です。万一の際に家族が困らないよう、「デジタル遺品」への備えが社会の課題として浮上しています。
デジタル遺品とは?その現状と問題点
 デジタル遺品に明確な定義はありませんが、一般的に「亡くなった人が利用していたインターネット上のIDやパスワード、SNSやクラウドのデータ、サブスクリプション契約など、有料・無料を問わず利用可能な状態で残されているデータ」を指します。パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器そのものは含みません。

 国民生活センターには、「パソコンやスマートフォンのロックが解除できず、インターネット銀行の解約手続きができない」「サブスクリプション契約の解約が行えず請求が続く」といった相談が遺族から寄せられています。

 こうした目に見えないデジタル遺品を放置すると、遺品の種類によっては課金がいつまでも続くなどマイナス資産となり、遺族への経済的な負担にもつながります。
デジタル遺品のトラブルを避けるには
 デジタル遺品への対応には、トラブルを防ぐための備えが必要です。例えば、以下のような対策(デジタル終活)が考えられます。
【パソコンやスマートフォンの解除準備】
 パソコンやスマートフォンのパスワードやPINコードなどのメモを作成し、万一の際に家族がロックを解除できるようにしておきます。
【アカウント情報の整理】
 ネット銀行、SNS、サブスク契約のサービス名・ID・パスワードを、デジタル遺品としてエンディングノートなどに一覧としてまとめておきます。
 なお、金融機関によっては、IDやパスワードなどのデジタル情報を、生前は本人のみが閲覧可能な状態で管理し、万が一の場合には家族がその情報にアクセスできるサービスを提供しているところもあります。

 スマートフォンが幅広い世代に普及した現在、死亡時にデジタル遺品を残すことになる人は今後も増えることが予想されます。早めの「デジタル終活」で情報整理の準備を進め、自分自身や家族の安心のために備えることが求められる時代が来たと言えるでしょう。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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