社員の食事補助・マイカー通勤手当の非課税限度額が見直しへ

木下 洋子
2025.07.10

社員の食事補助、マイカー通勤手当の非課税限度額の見直し
 政府は令和7年6月13日に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」を閣議決定した。

 上記実行計画において、経済が物価上昇に転じた中で、政府の予算や制度もまた物価上昇に的確に対応できるよう、省庁横断で総合的に予算・税制に係る公的制度の基準額や閾値(※1)の点検と見直しに取り組むことを示した。その中で、長きにわたり見直されていないことから速やかに見直しを行うべき制度として、社員の食事補助とマイカー通勤手当の所得税非課税限度額が挙げられた。

 社員の食事補助は、福利厚生として多くの企業が導入しているが、食事支給に係る所得税の非課税限度額は、1984年の見直し以降、食料品価格が上昇する中で、40年以上据え置かれている。(※2)

 また、地方において利用率の高いマイカー通勤に係る通勤手当の所得税非課税限度額についても、2014年の見直し以降、ガソリン価格が上昇する中で、10年以上据え置かれている。(※2)
※1
閾値(しきいち)とは、ある状態や現象が発生するかどうかを分ける基準点や限界値のことを指し、意思決定を行う際の基準として用いられる。
※2
出典:「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」P.79
現行の非課税限度額
 社員の食事補助、マイカー等の通勤手当の現行の所得税非課税限度額については、以下のとおりである。

【食事補助】
 役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されない。
(1)
役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)
次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除く)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
 この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税される。

【マイカー等の通勤手当】
 役員や使用人などの給与所得者に対して通常の給与に加算して支給する通勤手当は、一定の限度額まで非課税となっている。

 マイカー・自転車などを使用して通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて、次のように定められている。
出典:
国税庁タックスアンサー「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
 1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当を支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税される。

 社員の食事補助やマイカー通勤手当の非課税限度額の上限額のアップは、実質賃金の増加となる。早期の改定に期待したい。
参照:
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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