大学の費用の負担が「重い」が91.8%

森田 和子
2025.07.10

 大学の学費が高いことはよく知られています。貯蓄などで準備している方も多いのですが、実際に学費を納める時には、想像していたよりも家計への負担が大きいと感じるのではないでしょうか。東京私大教連による首都圏の大学新入生の保護者への調査(※1)では、受験から入学までの費用の負担感について、91.8%が重い(「たいへん重い」+「重い」)と回答しています。この調査結果について、内容を確認していきましょう。
下宿生の受験から入学までの費用は過去最高
 受験から入学までの費用については、下宿生(自宅外通学)が約231万円となり、過去最高を更新しています。費用の内訳をみると、受験費用273,800円、家賃68,900円、敷金・礼金251,700円、生活用品費355,100円、初年度納付金1,365,281円、合計で2,314,781円です。受験費用の増え方が大きく、前年度よりも2万円増えています。特に複数校を受験する一般入試では、同じ学校の同じ学部・学科を何度も受験することもできます。想定外に費用が膨らむことがあるので注意が必要です。

 同調査で、自宅生(自宅通学)の費用は、受験費用251,700円、初年度納付金1,365,281円、合計で1,616,981円となっています。下宿生と比べれば家賃などの支出がないとはいえ、高校までの学費からは大きく増えることになります。
1年生6月以降の仕送りは月88,500円
 下宿生の仕送りについては、新生活や教材の準備で費用がかさむため、入学直後は10万円を超えていますが、出費が落ちつく6月以降は月平均で88,500円となり、前年よりも800 円減少しています。過去最高だった1994 年の124,900 円と比較すると36,400 円も減少し、低い水準にとどまっています。

 6月以降の仕送り額から家賃の平均額68,900円をのぞいた生活費は19,600円で、一日あたりの生活費を算出すると、わずか653 円(19,600 円÷30 日)です。奨学金やアルバイトなどで補う必要があることがわかります。
下宿生の6割超が奨学金を申請
 日本学生支援機構などの奨学金を「希望する」は全体で 58.1%ですが、希望者のうち奨学金を「申請した」は 53.1%です。奨学金の申請基準にあわないこと、返済義務があることが申請しない理由の1位、2位です。しかし、下宿生では約7割の69.6%が希望し、6割を超える62.3%が実際に申請しており、奨学金に頼らざるを得ないことがわかります。家庭でも14.7%の人が借入れをしており、平均額は約203万円です。学生と家庭のどちらにとっても重い負担となっています。

 この調査結果の最後には、私立大学の学費を国公立大学と同レベルの負担にすることや、大学無償化を求める父母の声が紹介されています。近年、一定以下の世帯年収である場合や多子世帯である場合などの大学無償化が段階的に実施されてきました。制度が変わると無償化の対象になる人もいます。ニュースなどに注意して、最新の情報を得ていくようにしましょう。
※1:
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

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