コロナ禍で大学生はどのように過ごしているの?

飯田 道子
2021.01.18

 新型コロナ感染症の影響で、キャンパスライフはもとよりアルバイトなどもできなくなり、大いに影響を受けることになった学生たち。いったいどのようにして経済的困難を乗り越えているのか、文部科学省の「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学生への支援状況等に関する調査」を基に検証してみました。
緊急事態宣言下に中退した学生は意外と少ない!?
 大学生は生活に困窮しているというような報道が多くあり、大学を中退した人も多いようにイメージする人は少なくありません。

 ただ、それは単なるイメージに過ぎません。文部科学省が短大および高等専門学校を含む全国の国公立私立大学の学生に行った、経済的に困難な学生に対する支援状況や退学者の状況等の把握を目的とした調査によると、コロナ禍の令和2年4月から8月にかけて中退した学生は1万1,411人で、このうち経済的困窮を理由とする者は23.1%という結果が出ています。1年前の令和元年調査では経済的困窮を理由とした者は中退した学生(1万4,239人)の22.1%でしたので、大きな変化がなかったことがわかります。

 コロナ禍によって学費や仕送り等を出してくれる親の経済状況が悪化、学生自身もバイトの機会が減少、経済的困窮から中退せざるを得ない方も多かったのではないかと推測できますが、コロナが発生する以前と割合はほぼ変わりませんでした。その理由として考えられるのは、全体の99.1%にあたる大学等が前期分の授業料の納付を猶予していること、大学によっては独自に給付金を支給しているところや支援を行っていたところがありました。

 支援内容としては、現金給付の他に、商品券や食品の給付、無利子の貸与、パソコンの無償貸与等が行われていました。
通信制の大学生ではどうだった?
 上記のデータでは反映されていないのですが、通信制大学はどうだったのでしょうか?

 通信制の大学は、働きながら学んでいる人が多いのですが、収入が減ってしまえば必然的に学費を支払うこともままなりません。

 文部科学省において「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』制度が創設されましたが、この制度に年齢制限はなく、国内の大学や大学院に在学していれば通学通信を問わず支給の対象でした。通信課程の学生は、在籍している大学の通信教育課程学務課に申請することで最高20万円の給付を受けることができたのです。
万一のときには、どのように学費を工面するべきか?
 令和2年4月からの緊急事態宣言下では、親からの仕送りの他にバイトで学費を工面していたようですが、バイトそのものが無くなってしまった学生も多くいました。

 確かにバイトそのものが無くなってしまえば収入は閉ざされてしまいますが、「失ったことばかりに目を向けずに、どのようにすれば収入が得られるのか」に注目するべきです。

 地域格差はありますが、都市部では決して働く場所がない訳ではありません。

 実際にコンビニエンスストアや運送関係、各種デリバリー等では慢性的に人手不足に陥っています。これらの仕事は、若いからこそ活躍できるものです。

 今までのバイトよりも大変そうだ…と思うかもしれませんが、フレキシブルに対応できるのが大学生の強みです。このような経験は、将来の生活にも必ず役に立つものですし、生き抜くマインドを養うことは、社会人になってからも必要なスキルのひとつです。

 万一のときには、新たなものへとチャレンジすることも大切なのではないでしょうか。
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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