携帯電話市場の最近の動きと選び方のポイント

小沢 美奈子
2021.01.21

 今や国民の生活必需品と言っても過言ではない携帯電話。最近の使用料の値下げ動きは気になるところでしょう。たとえば、NTTドコモが月額2,980円(税別)の20ギガの新プラン(2021年3月開始)を打ち出したのは記憶に新しいと思います。それに追随するようにソフトバンクでは20ギガを月額2,980円(税別)で利用できる新ブランドを、さらにKDDIでも20ギガを月額2,480円(税別)で利用できるauのオンライン専用の新料金ブランドを立ち上げました。今まで携帯電話料金を引き下げるには事実上格安スマホを選ぶしか方法はありませんでしたが、これからは大手キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)も料金を下げる選択肢として挙がってきそうです。
利用者が自らのニーズに合ったものを選べる環境整備を推進
 そもそも最近の携帯電話料金引き下げなどの動きは、国が中心になって行われているものです。総務省が公表している「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」によると、携帯電話を「国民の生命・財産を守り、社会経済活動を支える重要インフラ」と位置づけ、国民にとって分かりやすいサービスの実現には、「低廉で多様なサービスの中から、利用者が自らのニーズに合ったものを利用できる環境の整備が必要」としています。

 その上で、「モバイル市場における公正な競争環境を整備するための取組」としては、電気通信事業法の改正(2019年10月)や「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」を改正(2019年11月)、などがすでに実施されてきました。このような政策的な対応が進む中、各事業者によって行われた見直しの1つが、冒頭で紹介した大手キャリアによる料金の引き下げです。こうした動きは今後も続くと思われるため、動向を見守る必要があります。
総務省「携帯電話ポータルサイト」が開設
 利用者自らがニーズに合ったプランを選べるようになるために国や事業者よる環境の整備はもっとも重要なことですが、同時に利用者も知識の向上させることが大切です。2020年12月には「携帯電話ポータルサイト」が総務省により開設されました。「専門知識のない利用者でも、それぞれのニーズに合ったサービスを容易に選択できるようにする」ことを目的としたサイトです。総務省の調査によると、自分に合ったプランを選べていない利用者が多く存在しているそうで、当該サイトでは、自分が加入中の料金プランやデータ使用料の把握方法、プランの選び方や見直し方、乗り換え時の注意点などを紹介しています。
まずは自分が加入しているプランを確認してみよう
 MMD研究所が実施した「2020年11月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」(全国の15~69歳の男女15,000人が対象)によると、月々の携帯料金の平均金額は、大手3キャリア(ドコモ、au、SoftBank)が8,312円、MVNOは3,771円となっています。まだ大手キャリアとMVNOとの間には、約5千円近くの差が生じている状態です。冒頭の通り、大手キャリアでも値下げの動きはありますが、新プランを利用するには自分で手続きをする必要があります。多様なサービスや料金プランの中から自分にあったプランを選ぶには利用者自身が知識を高め、行動につなげることが重要なことです。

 2021年、まずは第一歩として、今加入中の料金プランやデータ使用料を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。
参考
小沢 美奈子(おざわ・みなこ)
K&Bプランニング代表 ファイナンシャルプランナー(AFP)/ライター

法政大学卒業後、損害保険会社にて、人材教育部門で社員教育・研修講師など約12年間勤務の後、外資系損害保険会社で営業職に就く。ファイナンシャルプランナー取得後は、独立系FP事務所、住宅メーカーを経て独立。
Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングを行うほか、フォトライターとしても活躍。趣味はカメラ。

ホームページ http://kandbplanning.org/
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