銀行通帳有料化の動き広がる

高橋 浩史
2021.02.08

 オンライン化・ペーパーレス化の流れを受け、銀行も紙の通帳からデジタル通帳への移行が加速しそうです。新規口座開設者の通帳が有料となる他、紙の通帳そのものを廃止する動きもあります。
新規通帳発行は有料化へ
 2021年1月18日より、みずほ銀行では新規で口座開設する人はすべて、「みずほe-口座」と呼ばれる紙の通帳を発行しない「デジタル通帳」となりました。紙の通帳を希望する場合は、発行手数料として税込1,100円が必要になります。

 また、毎年1月末の時点で、1年以上記帳のない人も、みずほe-口座へ自動的に移行されます。ただし、すでに口座を持っている人や70歳以上の人は、通帳繰越時でもこれまで同様に無料で発行されるようです。

 みずほe-口座では、同時に「みずほダイレクト」「みずほダイレクト通帳」の申し込みが必要になるものの、過去10年分の入出金履歴の確認、振込などを、パソコンやスマートフォンから24時間利用できるようになります。

 こうした動きは、みずほ銀行だけではありません。2021年4月以降、三井住友銀行でも、新規口座開設者が紙の通帳を希望する場合、年間で税込550円の手数料が必要になり(18歳未満や75歳以上は対象外)、「Web通帳」への移行を促します。
コスト削減と非接触の流れの中で
 通帳有料化から、さらに踏み込んだ動きもあります。あおぞら銀行では2021年2月から、新規口座開設で紙の通帳の発行を廃止するとの報道がありました。

 また、三菱UFJ銀行では、紙の通帳の代わりに「Eco通帳」(インターネット通帳)へ切り替えると、先着10万人に1,000円のプレゼントキャンペーンを実施中です(2021年3月15日まで)。

 このように、銀行が紙からデジタルへと移行を進める背景として、通帳コスト(印刷費や年間200円の印紙税)削減やスマホの金融アプリ、インターネットによる銀行サービスが利用しやすくなったことなどが挙げられます。

 預金者側にとってデジタル通帳は、便利なサービスがある反面、注意点もあります。入出金履歴の定期的な確認・ダウンロードや、ウィルスによる不正利用やフィッシング詐欺などへの対策、IDやパスワードを含めた口座のリスク対策などです。

 コロナ禍で在宅勤務の拡大や非接触が叫ばれる中、銀行に行かずとも取引できるデジタル通帳は、これからの時代にあったサービスといえるでしょう。
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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