4月から36協定届が新様式に

庄司 英尚
2021.02.15

押印・署名の廃止
 令和2年12月22日付の労働基準法施行規則の改正公布に伴い、2021年4月1日より、36協定届の様式が新しくなる。各企業の担当者は、早めに内容を理解して準備をしておかなければならない。

 今回の改正のポイントは2つあって、1つは36協定届における押印・署名の廃止、もう1つが36協定の協定当事者に関するチェックボックスが新設されるという点である。4月は忙しい時期なので余裕をもって対応できるよう、気になった点について少しだけふれておくこととする。
36協定と36協定届を兼ねている場合は注意
 36協定届については、大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から時間外労働の上限規制が適用されたので、それぞれ同月以降の期間を定めた36協定から新たな様式で届け出を行う必要があってちょうど慣れてきたころだ。そのタイミングでさらに新様式に変更となったので注意したいところである。

 押印・署名の廃止について誤解があるといけないので簡単にふれておきたいと思うが、多くの会社は労使協定を兼ねた36協定届を作成し、届出を行っていると思う。そのような場合、労使協定書の締結の際にはやはり押印・署名が必要となるので今回の新様式になってもあまり変わらないということになる。

 一方、労使協議して労使協定書をまず作成、押印・署名している場合、その労使協定書の内容を別途協定届に転記して作成しているのなら、4月以降は36協定届の押印・署名は省略できるということなので誤解ないよう注意したい。
協定当事者の選出の方法のチェック厳格に
 協定当事者に関するチェックボックスの新設については、以下2つのチェックボックスが新たに設けられたので確認しておこう。
 上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること。

 上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。
 なお、4月以降も当面の間は旧様式での届出も可能なので問題はないが、チェックボックスの様式を満たしていないため、旧様式に協定当事者に関するチェックボックスの記載を追記するか、チェックボックスの記載を転記した紙を添付することが必要となる。チェックボックスにチェックがないと、形式上の要件に適合している協定届と認められないので注意しておきたい。
※36協定届について 労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められる。この労使協定を「時間外・休日労働協定」というが、時間外・休日労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれている。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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