コロナ禍の影響?有給休暇の取得が世界的に低下

庄司 英尚
2021.03.15

台湾のみ取得日数増加
 オンラインによる旅行通販大手、エクスペディアは「有給休暇の国際比較調査」を世界16地域、9,200名を対象に実施し、その調査結果を発表した。

 この調査は毎年行われており、世界と比較した日本の状況、また価値観や生活スタイルの違いなどもデータに表れてくるので大変興味深いものとなっている。

 今回はコロナ禍という特別な状況下での調査となっており、2020年は世界的に有給休暇の取得日数が例年と比較して少ないことが明らかになった。全世界がほぼ同じような傾向を示す中、唯一例年より有給休暇取得日数が増加しているのが台湾で、通常14日のところを2020年は15日となり1日増加している。
日本の有給休暇の取得が進まない原因は「緊急時のため取っておく」
 調査結果によると、有給休暇の取得があまり進まなかった原因として、世界的には「新型コロナウイルスの影響でどこにも旅行できない」(33%)というものが最も多い回答で、続いて「緊急時のために取っておく」(27%)、「お金がない」(22%)という順であった。

 一方で、日本では「緊急時のために取っておく」と回答した人が最も多く(30%)、続いて「人手不足など仕事の都合上難しい」(22%)、「新型コロナウイルスの影響でどこにも旅行できない」(12%)という順であった。

 世界的には新型コロナウイルスの影響により出かけられなかったことによって有給休暇の取得が低下したといえるが、日本に限ってみるとその影響は比較的少ないといえる。
十分な休息により生産性向上へつなげたい
 そもそも年次有給休暇は、週休日とは別に、賃金の保障された一定の日数の休暇を付与することによって、 労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とするものである。企業にはメリットがあって、従業員に十分な休息を取らせることによって、モチベーションや生産性の向上が期待できる。

 国は年次有給休暇の計画的付与制度、時間単位の年次有給休暇制度を導入することを推奨している。自社の状況にあわせて検討する際、今回のような世界との比較データも参考にしながら、社内風土の大改革を実行していただきたく思う。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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