すまい給付金の延長と変更点

森田 和子
2021.03.22

 一定の年収以下の人が住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に給付金を受け取れるのが「すまい給付金」です。

 2021年の税制改正で住宅ローン控除が13年間適用される特例が2022年12月末までの入居に延長されることに伴い、すまい給付金も延長され、内容にも変更があります。確認していきましょう。
すまい給付金とは
 すまい給付金は、住宅を取得する人の消費税率引上げによる負担を軽減させる目的で創設された制度です。いわゆる「住宅ローン控除」と呼ばれる住宅ローン減税がありますが、所得税等から控除する仕組みなので、収入が少ないほど支払う税額も少なく、効果が小さくなります。

 すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。そのため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。

 給付基礎額は都道府県民税の所得割額を基準にして決定されますが、夫婦(妻は収入なし)と中学生以下の子供2人のモデル世帯の目安は以下になります。
<収入額と給付基礎額の目安>
収入額450万円以下:給付基礎額50万円
収入額450万円超525万円以下:給付基礎額40万円
収入額525万円超600万円以下:給付基礎額30万円
収入額600万円超675万円以下:給付基礎額20万円
収入額675万円超775万円以下:給付基礎額10万円
 住宅ローンを利用しないで住宅を取得する人については、年齢が50歳以上で収入の目安が650万円以下の人が対象になります。
すまい給付金の2021年の変更点
 住宅ローン減税の延長にあわせて、すまい給付金の対象になる契約の期間、住宅の引渡し期限、床面積要件が変更されます。

 契約の対象期間については、注文住宅の新築が2020年10月1日であったのが2021年9月30日までに、分譲住宅・既存住宅取得は2020年12月1日であったのが2021年11月30日までに延長されます。

 住宅の引渡し期限については、2021年12月31日であったのが2022年12月31日までに延長されます。

 住宅の床面積要件については、50㎡以上から40㎡以上に緩和されます。

 なお、すまい給付金の制度は良質な住宅ストックの形成を促す目的もあるため、取得する住宅については、質に関する一定の要件を満たさないものは対象外となります。また、消費税が非課税とされている個人間売買の中古住宅は対象外となるので、注意が必要です。

 すまい給付金を利用して住宅を購入する場合には、制度の対象になる物件であるかを業者に確認しましょう。
関連税制法案が国会を通過するまでは確定事項ではありません。
森田 和子(もりた・かずこ)
FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/

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