労災保険の特別加入、4月から対象範囲が拡大

半田 美波
2021.03.29

フリーのアニメーターなども労災保険の対象に
 多様な働き方が推進される中、会社などの組織に属さない“フリーランス”として働く人たちが仕事中に怪我をしたり、通勤中に災害に巻き込まれたりした場合の保護をするために、労災保険の特別加入の範囲が拡大されました。新たに加わるのは下記の3つの職種で、令和3年4月1日から施行されます。
柔道整復師
芸能従事者(※)
アニメーション制作従事者
放送番組、映画、寄席、劇場等における音楽、演芸その他の芸能の提供の作業、またはその演出・企画の作業
労災保険の特別加入とは
 労災保険は、企業が保険料を負担し、企業に雇用される労働者を対象としています。業務上あるいは通勤途中に、負傷や疾病、障害、死亡が起きたときに治療費や入院費など保険給付を行う制度です。

 労災保険は企業に雇用される労働者を対象としているため、例えば建設業に多い一人親方や個人タクシーの運転手など、独立して仕事を請け負う自営業者は対象となりません。そこで、特定の事業に従事し、労働者を使用しない自営業者は、個別に労災保険に「特別加入する」ことが可能となっています。これを労災保険の特別加入制度といいます。

 事業の範囲は限定されており、上記①~③の職種は特定の事業に該当せず、今までは労災保険の保護から外れていました。しかし、働き方の多様化で近年ではフリーランスとして働く人が増加したことや、業界団体からの加入の要望もあり、保護策の一つとして労災保険の特別加入制度の拡大が議論されて新たに加わることとなりました。働き方の多様化で今後益々拡大が見込まれます。
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役

診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。

▲ PAGE TOP