がん検診のオプション検査

高橋 義人
2026.01.29

5つのがんが、がん検診の対象となっているのは……
 皆さんご存じの通り、現在、日本では5つのがん検診が行われています。

 胃がん検診(50歳以上2年に1回)、肺がん検診(40歳以上1年に1回)、大腸がん検診(40歳以上1年に1回)、乳がん検診(40歳以上2年に1回)、子宮頸がん検診(20歳以上2年に1回)の5つですが、なぜこの5つのがんが、がん検診の対象となっているのかお聞きになったことがあるでしょうか。

 理由は、この5つのがんは早期発見することにより、克服できる確率が高くなるということが分かってきているからです。つまりこの5つのがん検診は、必ず受けなくてはいけないと思われるがん検診です。

 がんでの死亡者数を減らすためには、早期発見が重要です。また症状がない時に受けるものが検診です。がんの場合、症状が現れてから医療機関を受診しても、既にがんが進行していることもあります。

 まずはこの点を、お会いするすべてのお客様にお伝えいただき、お客様にしっかりとがん検診をお受けいただくのがよいかと思います。
超音波(エコー)検査の必要性
 一方で「毎回しっかりとがん検診を受けていたのに、いきなり転移したがんが発見された。」というようなお話をお聞きになったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

 例えば、乳がん検診では問診と乳房X線(マンモグラフィ)検査が行われています。乳房X線(マンモグラフィ)検査は、弱いX線を使い乳房の全体像を把握する検査です。もちろんこれらの検査も必要ですが、可能であればオプションで超音波(エコー)検査も受けていただきたいと思います。超音波(エコー)検査は、高い周波数の音波を乳房にあて、跳ね返ってくる音波を画像化して診断する検査です。

 2つの検査を受けていただきたい理由は、乳房X線(マンモグラフィ)検査の機能と日本人の特性にあります。

 乳房の内部は、主に乳腺と脂肪で構成されています。乳房X線(マンモグラフィ)検査では乳がん、腫瘍、石灰化などの病変が白く写るのですが、乳腺も白く写ってしまいます。日本人の特性として、若い方を中心に乳腺の割合の高い状態(デンスブレスト)の方が多く、写されたものが乳がんなのか乳腺なのかの判断が難しいことがあります。

 乳房X線(マンモグラフィ)検査と超音波(エコー)検査では検査方法が異なるため、超音波(エコー)検査を追加受診することで、デンスブレストの方でも腫瘍を発見することができる場合があります。

 乳がん検診については、超音波(エコー)検査受診の必要性についてもお客様にお伝えください。

 また、現在ではトモシンセシス(3Dマンモグラフィ)による乳がん検査も行われるようになってきています。興味のある方は調べてみてください。
放射線量を抑えた肺の低線量CT検査
 もうひとつ、お勧めしたい検査があります。それが、肺の低線量CT検査です。

 皆さんもご存じの通り、がんの中で最も多くの方が亡くなっているのが肺がんです。直近データでは、1年間に日本国内だけで75,000人以上の方が亡くなっています。
※出典:
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)
 なぜ肺がんで亡くなる方が多いのでしょうか。

 肺がん検診では問診と胸部X線検査が行われています。胸部X線検査も必要な検査ですが、肺は心臓や横隔膜、肋骨の裏に位置するため、胸部X線検査の場合、早期の肺がんの影が写りにくいという課題があります。

 肺がんが見つかりすぐに余命宣告を受ける方がいる背景には、こうした肺がん検診の課題もあります。
 低線量CT検査は、X線を使って胸部全体を撮影し数十枚の断面図を作画する検査です。肺がんの検診用として、通常診療で実施されるCT検査より放射線量を少なくした撮影を行うため低線量CT検査と呼ばれています。

 米国立がん研究所などは低線量CT検査の受診が肺がんの死亡率を減少させていると公表しており、国立がん研究センターも2025年4月、50~74歳の重喫煙者に対し、年に一度の低線量CT検査を奨励すると、新たに明記された「肺がん検診ガイドライン」を発表しました。

 受診場所はNPO法人「肺がんCT検診認定機構」に認定を受けている72施設(2026年1月時点)をおすすめしますが、それ以外の施設でも受けることができます。

 こうした選択肢があるという情報も、是非、お客様にお伝えいただけるとよいのではないかと思います。

 現在多くのがんは、早期発見により克服することができるようになってきています。早期発見のためには、検査の受診が必要です。検査を受けることにより、がんから命が守れるようになっていることをお会いするすべてのお客様にお伝えください。

 今回はがん検診のオプション検査についてお話をさせていただきました。
高橋 義人(たかはし・よしひと)
株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役
一般社団法人 健康事業支援機構 医療コーディネーター
ユニバーサルライフ株式会社 執行役員 東京第2支社長

1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。静岡・埼玉・大阪にて支社長を務め、2011年に独立。
その後、「がん治療とお金」のコンサルティング会社を設立し、現在に至る。
医療コーディネーターとしてがん患者と向き合い、患者目線に立った治療に関する情報提供・病院紹介・治療紹介・病院へのアテンド等の患者支援活動の傍ら、セミナー講師としてがん患者の目線に立ったがんに関する様々な講演を、日本全国で毎年150回以上行っている。
ホームページ https://mfpartners.co.jp

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