接種前に知っておきたい予防接種健康被害救済制度

飯田 道子
2021.04.12

 新型コロナワクチン接種が2月に医療従事者からスタートし、4月から高齢者への接種が各自治体ではじまりました。そこで気になるのが、副反応のこと。ニュースによれば、副反応を発症する人もいるため、不安に感じている人も多いようです。今回は、万一のときにはどのような救済制度があるのか、また、接種時にはどのようなことに注意しなければならないのか考えてみます。
健康被害が生じたらどうなるの?
 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に限らず、予防接種を行った場合、極めてまれですが健康被害が生じることがあります。そのようなときには健康被害を申請し、厚生労働大臣が認定すると、市町村から救済給付が行われます。このことを「予防接種健康被害救済制度」と言います。

 給付を受けるには、あくまでも予防接種との因果関係が証明されなければなりません。因果関係の審査は法律によって定められており、疾病・障害認定審査会を経て決定されます。

 給付されるのは、①治療にかかった医療費の自己負担分と入院通院に必要な諸経費、②障害が残ってしまった場合は年4回の障害年金(18歳未満の場合は障害児養育年金)、③亡くなった場合は葬祭料と一時金(ワクチンの種類によっては一時金または年金)が支給されます。(亡くなった方が生計維持者の場合は遺族年金も支給されます)。

 給付額は身体状況や家族構成によって変わってきますが、③の葬祭料はかかった費用に関わらず一律21万2,000円、死亡一時金は4,420万円(臨時接種及びA類疾病の定期接種の場合)と決まっています。
接種前に注意すべきこととは?
 過去にアレルギー反応やアナフィラキシーが発症したことがあるなら、予診票に記入し、原因の医薬品等やその時の状況をできるだけ詳しく医師に伝えることが大切です。なお、現状アレルギーで医療機関にかかっているなら、接種の可否を事前に相談するようにしましょう。その他、服薬しているなど不安があるような場合もかかりつけ医に早めに相談し、不安な部分をクリアしておくことが大切です。

 また、意外と多くの人が服用しているのが「血液をサラサラにする薬」です。この薬が抗凝固薬にあたる場合には、接種後にその箇所を2分以上押さえておくことが必要です。自分が服用している薬が抗凝固薬かどうかは、あらかじめ医師に確認しておくと良いでしょう。

 国内外の副反応関連のニュースを耳にする度に不安に感じ、ワクチン接種そのものを否定的に捉えている人はいます。今回のワクチン接種は、自分のためだけではなく、自分の周りの人も守るために行うものです。ひとりで接種の可否を判断せず、あらかじめ医師に相談し、不安を解消しておきましょう。
参照:
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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