労働者派遣法改正(派遣労働者の働き方改革と同一労働同一賃金)

沖田 眞紀
2021.05.20

 2021年1月と4月に、労働者派遣法が改正されました。今回の改正は柔軟な働き方の実現を目指す「働き方改革」と、正規労働者・非正規労働者の待遇差をなくす「同一労働同一賃金」を踏まえ、これまで曖昧だった派遣労働者の雇用の安定とキャリアアップなどを明確にしたものです。賃金の適正化、キャリアアップの支援等により、派遣労働という働き方は、これまで以上に注目されています。
2021年1月1日の改正内容
派遣労働者の雇入れ時における教育訓練についての説明義務付け
派遣会社の積極的な給育訓練、キャリアコンサルティングの実施による派遣労働者が希望するキャリア形成支援
派遣契約書の電磁記録を認める
社会情勢を踏まえた政府によるデジタル化推進、ペーパーレス化や事業者の負担軽減
派遣先企業での派遣労働者からの苦情の処理
派遣先企業側に使用者責任がある事項の場合、派遣労働者からの苦情対応は派遣先企業の誠実かつ主体的な対応を求める
日雇派遣での解除にも休業手当の支払いを厳格化
派遣会社や派遣先企業の都合で日雇派遣契約が解除される場合、別の働き場所を確保できなければ、派遣会社に休業手当の支払い義務が発生。ただし派遣先企業の都合で契約解除となった場合は、派遣先企業は休業手当以上の額を派遣会社に補償する
2021年4月1日の改正内容
雇用安定措置として派遣スタッフの希望を聴取
同一組織への3年間の就労が見込まれている派遣労働者に、「派遣先企業への直接雇用の依頼」「新しい派遣先の提供」「派遣会社での無期雇用」「その他雇用安定を図るための措置」のいずれかを実施《雇用見込みが3年未満の派遣労働者については努力義務》するため、派遣労働者の希望を聴取し「派遣元管理台帳」に記載する
インターネットによる開示の原則化(以下の情報公開が義務化)
派遣労働数
派遣料金の平均額
派遣労働者の賃金の平均額
派遣先企業の数
マージン率
労使協定の締結状況
派遣労働者のキャリア形成支援制度事項
【参照】
沖田 眞紀(おきた・まき)
特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。

▲ PAGE TOP