台風による雨漏り・浸水に伴う電気火災の注意点

栗原 賢二
2021.05.31

 近年の気候変動の影響もあり、強風や豪雨による被害も大型化しています。とりわけ被害が心配な台風は夏場を中心に発生しますが、過去には5月・6月に上陸した記録も存在するため油断できません。雨漏りや浸水に備えることはもちろん、それに伴う電気火災のリスクについて留意しましょう。
雨漏り等で電気火災が発生するケース
 台風により発生した電気火災の主な原因には、「屋外に設置された電気機器の配線接続などに雨水が浸入」「屋内への雨漏りで電気機器等が浸水」「電気工事の防水処置が不十分」といったものが挙げられます。これらが短絡(ショート)を引き起こし、出火するパターンが多数です。
 なお東京消防庁管内で報告されている電気機器の火災原因に、以下のような事例があります。
屋上にある分電盤の扉が外されていたため、分電盤内に雨水が浸入
ベランダにあるエアコンの配線接続部に雨水が浸入
地下駐車場の蛍光灯のコネクタ部分が風による振動等で緩み、接続部が過熱
看板電源コードが経年劣化し、湿気やコードの屈折等によりショート
住宅屋根裏の配線と照明器具の接続部に雨水が浸入
 出火を防ぐ事前対策として、「配線接続部分や絶縁テープで処理している部分に雨水等が入らないよう維持管理する」「強風で電気配線の絶縁被覆が損傷しないよう固定や保護をする」「雨漏りを確認した時には当該箇所のブレーカーを落とす」などがあります。絶縁(必要以外の箇所に電流が流れることを防ぐ処置)の状態を定期的に確認することで、電気火災の抑止につながるかもしれません。
停電後に再通電した際の火災にも注意!
 上記の雨漏り等に加えて水害による停電の後、再通電(電気が復旧)した際に発生する火災も懸念されます。消防庁予防課では通電火災に対する注意事項として、以下のポイントを挙げています。
停電中は電気機器のスイッチを切るとともに、電源プラグをコンセントから抜く
停電中に自宅等を離れる際はブレーカーを落とす
電気が復旧した際は、漏水等により電気機器やコードが破損していないか、燃えやすいものが近くにないかなど十分に安全を確認する
外見上の損傷がなくても時間を置いて火災に至る場合があるため、煙の発生等の異常を発見した際はブレーカーを落とし消防機関に連絡する
 台風や水害で避難を余儀なくされるケースでは、避難先から帰宅した際に隠れたリスクを見落とすことも予想されます。安堵してすぐ電気を点けたら火災といった事態にならないよう、電気機器の安全確保も頭に置いて行動しましょう。
参照:
(セールス手帖社 栗原賢二)

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