コロナ禍の影響受けて(!?)出生数は過去最少

半田 美波
2021.06.14

外出自粛の影響もあってか婚姻件数も戦後最少
 厚生労働省は6月4日に、「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」を公表しました。それによると、一人の女性が一生の間に生む子どもの数である合計特殊出生率は1.34で前年の1.36より低下しています。生れた子どもの数(出生数)は84万832人で、前年の86万5,239人より2万4,407人減少し、5年連続の減少で調査開始以来過去最少となりました。
令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況より
 母親の年齢(5歳階級)別にみた合計特殊出生率では、30~34歳、40~44歳、45~49歳で前年をかろうじて上回ったものの、それ以外の各階級は減少しました。年齢階級別で最も合計特殊出生率が高いのは30~34歳でした。都道府県別にみると、高いのは沖縄県(1.86)、島根県(1.69)、宮崎県(1.68)、長崎県(1.64)、鹿児島県(1.63)で、低いのは東京都(1.13)、北海道(1.21)、宮城県(1.21)、京都府(1.22)、神奈川県(1.25)となっており、西高東低の傾向がみられます。

 昨年(令和元年)は改元の節目を機に婚姻件数は7年ぶりに増加しましたが、2020年の婚姻件数は52万5,490組で、前年の59万9,007組より7万3,517組減少し、戦後最少を更新しました。コロナ禍でテレワークの増加や外出自粛など、人との関わりの機会が減ったことも関係しているのでしょうか。
3.6人に1人はがんでお亡くなりに…
 死亡数は137万2,648人で、前年の138万1,093人より8,445人減少しています。しかし、死亡数から出生数を引いた人口自然減は53万1,816人と14年連続で減少しています。また、年齢階級別の死亡数の年次推移をみてみると、75歳以上の高齢者の死亡数は1980年頃(昭和50年代後半)から増加しており、2012年(平成24年)からは全死亡数の7割を超えています。

 死因順位別にみると、第1位は悪性新生物<腫瘍>、第2位は心疾患(高血圧性を除く)、第3位は老衰で、第4位は脳血管疾患となっています。
令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況より
 主な死因別の死亡率の年次推移をみてみると、悪性新生物<腫瘍>は一貫して上昇しており、1981年(昭和56年)以降第1位となっています。2020年の全死亡者に占める割合は27.6%であり、全死亡者のおよそ3.6人に1人は悪性新生物<腫瘍>が死因となっています。

 心疾患(高血圧性を除く)は、1985年(昭和60年)に脳血管疾患にかわり第2位となり、2020年の全死亡者に占める割合は15.0%となっています。老衰は、1947年(昭和22年)をピークに低下傾向が続きましたが、2001年(平成13年)以降上昇に転じており、2018年に脳血管疾患に代わって第3位となり、2020年の全死亡者に占める割合は9.6%となっています。脳血管疾患は、1970年(昭和45年)をピークに低下傾向が続き、2020年の全死亡者に占める割合は7.5%となっています。

 なお、2020年の肺炎による死亡数は7万8,445人で前年より1万7,073人の減少となっていますが、肺炎とは別に、新型コロナウイルス感染症による死亡数は3,466人を記録しています。
参考:
半田 美波(はんだ・みなみ)
社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役

診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。

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