企業の業務命令によるPCR検査費用等は非課税扱い

木下 洋子
2021.06.17

 国税庁は5月31日付のホームページで、企業が従業員の新型コロナウイルスの感染予防対策費用を負担した場合の課税関係についての指針を示した。

 「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」で、企業が負担した従業員の感染予防対策費用のうち、給与の非課税となるもの、ならないものの例示を挙げている。
【質問】
当社では、新型コロナウイルス感染症に関する感染予防対策として、従業員が負担した次のような費用を従業員に支給する予定ですが、このような費用の支給については、従業員に対する給与として課税対象となりますか。また、このような費用の支給は法人税の損金の額に算入できますか。
従業員の所得税の課税関係について
1.
マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費
給与として課税されないもの
業務のために通常必要なマスクなどの費用について、企業が実費精算として従業員に支払う金銭(企業がマスク等を直接従業員に配布する場合も、同様)
給与課税対象
勤務とは関係なく使用するマスク等の消耗品費について支給するもの
従業員の家族など、従業員以外の者を対象に支給するもの
2.
従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費
給与として課税されないもの
テレワークを行うための間仕切り等の環境整備費用の購入費用など、企業が実費精算として従業員に支払う金銭(ただし、購入した備品の所有権が従業員に移った場合を除く)
企業が所有する備品を専ら業務に使用する目的で従業員に貸与する場合
給与課税対象
勤務とは関係なく使用する電化製品など、勤務とは関係なく使用する備品について支給するもの
3.
感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など
給与として課税されないもの
業務のために通常必要な費用(例えば、職場以外の場所で勤務することを企業が認めている場合のその勤務に係る通常必要な利用料、交通費など)について、その費用を精算する方法又は企業の旅費規程等に基づいて、企業が従業員に対して支給する金銭
給与課税対象
業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、従業員が自己の判断によりホテル等に宿泊した場合の利用料など)
4.
PCR 検査費用、室内消毒の外部への委託費用など
給与として課税されないもの
業務のために通常必要な費用(例えば、企業の業務命令により受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭
給与課税対象
業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、従業員が自己の判断により受けたPCR検査費用や、従業員が自己の判断により支出した消毒費用など)
 なお、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するもの)は、従業員に対する給与として課税対象となるので注意が必要である。
法人税の課税関係について
 企業が負担した従業員の感染予防対策費用については、原則として消耗品費、旅費交通費等や給与として損金の額に算入される。
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
マネーコンシェルジュ税理士法人がお届けする無料オリジナルマガジン
『あんしん相続通信』
保険営業マンの皆さんへ
お客様への情報提供ツールとして、ご利用ください(コピー配布可)。
右下の申込書の最下段に、ご自身のお名前をご記入の上、お客様にお渡しください
もし、そのお客様から生命保険のご相談があった場合には、必ずご紹介させていただきます。
ご希望の方は、下記申込書にご記入の上、06-6450-6991までFAXください。
https://www.money-c.com/kr/ASTapplication.pdf

▲ PAGE TOP