えっ!火災保険は水災リスクによっても保険料は変わるの!?
2026.03.26
近年、全国各地で台風や線状降水帯による豪雨被害が頻発しています。こうした自然災害の激甚化を背景に、損害保険各社は火災保険の水災リスクの評価を細分化させています。
そもそも火災保険の「水災リスク」とは
火災保険が対象とするリスクの一つに「水災リスク」があります。「水災リスク」には以下のようなものがあります。
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河川の氾濫などによる「外水氾濫」
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集中豪雨などで下水道などの処理が追いつかず、水があふれたことによる「内水氾濫」
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集中豪雨などによる「土砂災害」 など
火災保険では、これらの損害が将来発生するリスクを見込んだ上で、「水災リスク」として一つにまとめて評価しています。
水災リスクの細分化とは
従来、全国一律で設定されていた水災保険料が、市区町村別に「1等地(低リスク)」から「5等地(高リスク)」まで細分化されています。以下はその一例です(損害保険料率算定機構の火災保険参考純率)。
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1等地:改定前より保険料が約6%引き下げ
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5等地:改定前より保険料が約9%引き上げ
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格差:1等地と5等地では、水災部分の保険料に約1.2倍の差
この仕組みの導入により、リスクが低い地域の居住者にとっては保険料の引き下げ要因となる一方、リスクが高い地域の居住者にとっては、保険料の引き上げ要因になり、家計への影響は小さくないといえます。
家計を守るために
そこで、必要となるのが家計を守る視点です。そのための主な検討項目は以下のとおりです。
1.ハザードマップと保険会社の等地の両方を確認する
自治体のハザードマップは、外水氾濫・内水氾濫・土砂災害などの危険度を視覚的に把握するものです。一方、等地は想定される被害を含めてさまざまな要素を加味した保険会社独自の評価です。両方を確認することで、より実態に沿ったリスクの判断が可能になります。なお、マンションの3階以上など上層階に住む場合、外水氾濫による浸水リスクは小さいといえますが、近年増えている「内水氾濫」による建物被害や共同設備の損害を考慮する必要があります。
2.水災補償を外してよい?
保険料が上がる地域では、水災補償を外す検討をするかもしれません。しかし、床上浸水や土砂災害などは一度発生すると修繕費は数百万円以上となり、家計への影響は大きいといえます。したがって、水災補償を外すか否かは慎重に判断する必要があります。
3.免責金額(自己負担額)の活用
保険料を抑えるために有効な方法が、免責金額の設定です。例えば「5万円」や「10万円」などの免責金額を設定することで、設定金額に応じた保険料を抑えることが可能となります。小さな損害は自己負担とし、家計に悪影響を与えるような大きな損害は保険を活用する、という方法も検討したいところです。
最後に、「水災リスク」の細分化は、単に保険料が変わるという話だけではなく、住まいのリスクを正しく把握する機会にできるのではないでしょうか。「制度が変わったから高くなった」で終わらせず、根拠に基づいた最適な火災保険の補償プランに加入することが大切です。
【参考情報】
生命保険の募集人の方は、上記のような損害保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。火災保険の話題からのアプローチトークも収録されています(第2章 アプローチの実践<個人編>「第1話 共同住宅の上階からの水もれ事故、仮住まいのためのホテル代はどうなるの?」「第2話 着ている皮ジャケットに穴が開いたら?」「第4話 自宅が火元になって隣家に燃え移ったら…」「第6話 落雷で給湯器やエアコンが壊れた!『建物』じゃなくても火災保険の対象になるの?」)。


水谷 力(みずたに・ちから)
株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント
大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
組織開発コンサルタント
大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格等を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。






