銀行が振込手数料引下げへ向けて連携へ

高橋 浩史
2021.07.15

 大手銀行や地方銀行など、国内の多くの銀行が窓口やATM、インターネットバンキングなどで他行宛に送金する際にかかる振込手数料の引下げに動き出しました。これまで高止まりしてきた振込手数料の引下げには、どのような背景があるのでしょうか。
3万円未満の振込みで50円程度の引下げを検討
 一部の新聞報道によると、メガバンクなどの大手銀行が2021年10月以降にインターネットバンキングの振込手数料を引下げる方向で検討しているようです。また、主な地方銀行も、例えば福岡銀行では6月30日のニュースリリースで、10月1日からの手数料下げを発表しています。

 現在、個人が他行への振込みをする場合、銀行によって店頭、ATM、インターネットバンキングなど、どれを利用するかで手数料が異なり、また振込金額が3万円未満か3万円以上かによっても手数料が異なっていますが、各銀行では3万円未満は50円程度、3万円以上は100円程度、手数料を引下げる検討が進んでいるようです。ただし、新料金への移行は銀行によっても異なりそうです。
銀行間手数料の引下げやスマホ決済等サービス普及が背景か
 引下げの契機となったのは、全銀システム(全国銀行データ通信システム)を通じた、銀行間送金手数料の引下げです。このシステムでは40年以上変動することなく銀行同士の送金に手数料をかけていました。この手数料が見直されることで、3万円未満で117円、3万円以上で162円を負担していた手数料は一律62円に見直されるといいます。それに伴い、各銀行の利用者個人が負担している手数料も見直しになる運びとなりました。

 また、PayPayなどのスマートフォンを使ったキャッシュレス決済事業者の台頭も、今回の見直しに影響を与えたと思われます。同じキャッシュレス決済サービスの利用者同士なら、手数料無しで個人間の送金できます。こうしたキャッシュレス決済など、銀行口座を介さなくても送金できるサービスが普及してきたことにより、利用者にとってこれまでよりも魅力的な料金体系に見直されたという側面もあることでしょう。
参考:
高橋 浩史(たかはし・ひろし)
FPライフレックス 代表
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP®
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社などでグラフィックデザイナーとして20年活動。 その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。 住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。 その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。
ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/

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