中小M&A、安全性向上とリスク軽減の仕組み作り

山崎 美穂
2021.07.29

安心安全な中小M&Aを目指しての仕組み作り
 中小M&Aは「後継者不在の経営者の事業承継」や「事業転換や新たな分野への進出など経営転換の選択肢の一つ」として期待できることから、政府も補助金や制度改革などで後押しをするほど、広がりを見せている。

 だが、M&Aは多額の資金がかかり、且つ、専門的な知識を必要とする部分もあることから、M&Aによって既存事業に影響とリスクがかかることを懸念される方も少なくない。

 そこで、より安心安全にM&Aが成約できるよう、また、リスクを軽減できるよう、政府・業界で改革が進んでいるので、一部をご紹介したい。
準備金の積立
 経営力向上計画の認定後、計画に基づくM&Aを実施した場合に、措置が受けられる「経営資源の集約化に資する税制」が創設された。

 なかでも、「準備金の積立」は、M&A実施後のリスクへの備えとして、据置期間5年の準備金を措置し、M&A実施時に、株式等取得額の70%以下の金額を損金算入することが可能で、簿外債務が発生した場合等には、この準備金を取り崩し充てることができる。
出典:
M&A向けの表明保証保険
 M&Aを行う際の譲渡契約書等にほとんどの場合盛り込まれている「表明保証(※)」の条項。財務・労務など譲渡内容に関してきちんと確認していたとしても、思わぬトラブルとして損失に繋がることもあるため、現在、一部の損害保険会社で表明保証保険を取り扱っている。
※表明保証:
契約に関する事項について、真実且つ正確であることを表明し、また、その内容を保証するというもの。一定の事項について表明保証していたにもかかわらず違反した場合には、先方に生じた損害について補償等を行うことになる。
 なお、各社で補償内容や条件・保険料など異なるため、実施予定のM&Aの条件にあった保険を選ばれることをお勧めしたい。
M&A支援機関の登録制度
 中小M&Aの広まりにより、近年支援機関数も増加し、なかには残念ながら悪質な業者も含まれてしまっているのが現状だ。

 そんな悪質業者をけん制し、業界の健全化に向け、官民で仕組み作りが始まっている。中小企業庁は、近くM&A支援機関の登録制度を導入する予定とし、毎年の成約実績等の報告を義務づけることも検討している。

 また、自主規制団体を設立し、他のM&A支援機関へのセカンドオピニオンの導入を促すよう求めるなど、適切なルールの徹底、人材育成などを目指している。

 登録制度は今夏、自主規制団体の設立は21年度中を目標としている。M&A業界はここ数年で急速に進化している。今後の動きにも是非注目頂きたい。
山崎 美穂(やまざき・みほ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。
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