女性管理職の割合平均8.9%は過去最高

庄司 英尚
2021.09.13

女性管理職の割合、昨年より1.1ポイント増
 帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施し、調査結果を8月16日に公表した。同社は女性登用に関する調査を2013年から毎年7月に実施しており、今回で9回目となる。なお、有効回答企業数は1万992社。

 調査結果によると、自社における管理職(課長相当職以上)の女性が占める割合は昨年より1.1ポイント増の平均8.9%で、依然として低水準ながら過去最高を更新した。また政府が目標として掲げている「女性管理職30%」を上回っている企業の割合は8.6%で、依然として1ケタ台にとどまるもののこちらも過去最高となった。

 女性管理職の割合を規模別にみると、最も高かったのは「小規模企業」(11.9%)で、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合が高いことがわかった。業界別では、「小売」(15.5%)、「不動産」(15.3%)、「金融」(12.7%)、「サービス」(12.0%)が上位に並ぶ一方で、「製造」「建設」「運輸・倉庫」は全体の平均値を下回った。こうした企業からは「現場でも女性に活躍していただきたいが、求人しても応募がなかなか無い」(一般土木建築工事、兵庫県)といった女性採用に苦心している声が寄せられている。

 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均11.8%と、昨年より1.0ポイント増加した。しかしながら、役員が全員男性とする企業は半数超を占めている。
女性活躍を進めていない企業、約4割
 「自社において女性登用を進めているか」という質問に対し、進めている企業は46.9%で、その内訳をみると、「社内人材の登用を進めている」(40.7%)、「社外からの登用を進めている」(11.5%)となり、どちらも昨年より増加している。しかしながら、約4割の企業では女性登用を「進めていない」との回答だった。

 この調査結果をみていくと、「製造」「建設」「運輸・倉庫」業界を中心に、女性の登用が今後の課題となっていることがよくわかる。業種や職種によっては今まで男性メインだった採用も見直しが進み、企業側も新たなサービスを考えるきっかけにもなるだろう。もともと女性の応募者がほとんどないような企業では女性を登用したくでもできなかったということもあり、このような調査結果をきっかけにして変わっていくことを期待したい。
改正女性活躍推進法が2022年4月に施行
 結果的には政府が2020年までの目標達成を掲げていた「指導的地位に占める女性の割合30%」は未達成となり、期日は「2020年代の早期達成」へ修正された。女性活躍社会を実現する道筋には厳しさが続いているが、法律の改正もあり今後どのように変化していくのか注目していく必要がある。

 直近の課題としては、2022年4月から改正女性活躍推進法が施行され、女性が活躍できる行動計画の策定・公表が義務付けられる企業の対象が、従業員数301人以上から101人以上に拡大される。対象となる中小企業がこれから積極的に取り組んでくれることを願いたい。

 いずれにしても女性登用はいきなり進めようとしてもなかなかうまくいかないし、時間がかかるものだ。だからといって外部から女性管理職を連れてきて積極的に登用していこうと焦って動いても逆に社内が混乱してしまい失敗してしまうこともある。そもそも今まで女性の登用が進まなかった理由は各社それぞれあると思うのでそこを意識しながらできることを整理してから取り組んでいく必要がある。
参照:
庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/

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