オフィスに異変、会社も住み替えの時代に?!

飯田 道子
2021.10.11

 新型コロナの影響は、私たちの生活に大きな影響を与えています。それは、個人の生活を超えて、企業そのものが生き残りをかけて、選択を迫られているケースもあります。一体、どのようなことが起こっているのでしょうか?
企業が脱・首都圏をする理由とは…
 コロナ禍が続いていることにより、企業は「非接触型」の働き方をすることを求められ、働き方を変えざるを得なくなってしまいました。その結果、多くの企業で導入されたのがテレワークやオンライン会議など、自宅等からリモートで仕事をするスタイルでした。

 従業員がオフィスへ通わなければ、企業はわざわざ高額な賃料を払って首都圏にオフィスを構える必要はありません。帝国データバンクが行った「首都圏・本社移転動向調査(2021年1-6月間速報)」によれば、首都圏外への本社移転は、半年で150社超(過去10年間で初)におよんでいます。

 企業が地方へ移転するメリットとしては、賃料削減の他、従業員の通勤手当や勤務地手当を削減することもできるようになります。また、パートやアルバイトを雇う場合には、首都圏に比べて地方の時給が低いため、人件費負担も軽減することが可能になります。
縮小化するオフィス
 もちろん、首都圏へオフィスを構え続ける企業も少なくありません。その場合にも、ダウンサイジングをして、今借りているオフィスよりも小さなオフィスへ移転し、賃料を削減しているケースが見られるようになりました。

 また、企業によっては支店や特定の営業所を廃止し、シェアオフィスの法人プランを活用し、経費を削減しているところもあります。もともとシェアオフィスで個室に入居している企業の場合には、フリースペースを利用するプランに変更する等、より縮小化が進んでいます。

 賃料は、企業の経費のなかで多くを占める固定コスト。これらを削減するのは、当然のことなのかもしれませんね。
接待もオンライン化
 今まで必要だった上司の決裁印はオンラインでOKになっている企業は増えていますし、会議もオンラインが当たり前となってきました。もちろん、直接対面しながら働く文化が完全になくなることはないでしょう。ただ、その流れは接待にまで影響を与えています。

 その1つが「オンライン接待」です。オンライン接待とは、食事とアルコール等の飲み物をセットで、接待したい人の家へデリバリーし、オンラインで会話をしながら接待をするというもの。帰宅時間を気にしなくてすみ、食事は家族ともシェアでき、二次会へ行くことも不要。お酌も不要のため、仕事の話も対面で行っていた時よりも進み、コストも削減できているようです。人によって好みはわかれますが、オンライン接待は、接待する方もされる方にも好評なのだとか。

 コロナ禍は決して良いことではないのですが、本当に必要なことは何かを気付くための機会なのかもしれません。さまざまなモノやコトを見直すチャンスが来ているのかしれませんね。
参照:
飯田 道子(いいだ・みちこ)
海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)

 金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
 海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。

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