家主が非居住者等である場合の注意点

木下 洋子
2021.10.28

非居住者等に不動産の賃借料を支払った場合の源泉徴収義務
 従業員への給与や士業などへの報酬の支払いの際は、原則、事業者が所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する義務があるのは、周知のことであろう。しかし、不動産の賃借料を支払う際にも源泉徴収が必要な場合があることはご存じだろうか。

 非居住者や外国法人(以下「非居住者等」)から日本国内にある不動産を借り受け、日本国内で賃借料を支払う者は、法人はもちろん個人(事業者かどうかは問わない)であっても、その支払の際20.42%の税率により計算した額の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない。

 すなわちこの場合は、賃借料の79.58%相当額を非居住者等である家主に振り込み、源泉徴収した20.42%相当額を税務署に納付する義務がある。

 なお、個人である借主が、土地、家屋等を自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた場合は、その不動産の賃借料については源泉徴収をする必要はない。しかし、社宅を自己又はその親族の居住に供するために借り受けている場合は、法人が借主となる限り、源泉徴収義務が生じるので注意されたい。
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税の納付期限
 非居住者等に対して、国内において支払った不動産の賃借料から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに納めなければならない。

 また、非居住者等に対して不動産の賃借料を国外で支払う場合であっても、支払者が国内に住所若しくは居所又は事務所等を有するときは、国内源泉所得を国内において支払うものとみなして、源泉徴収しなければならない。この場合の納付期限は、支払った月の翌月末日となる。

 契約期間中に家主が変わった場合には、新しい家主が非居住者等であるかどうか不動産会社に確認されたい。家主が外国人名である場合は勿論のこと、日本人であっても、海外赴任のため国内に住所及び1年以上居所を有しない非居住者である可能性もある。新たに源泉徴収の義務が生じていたことに気が付かず、後に税務署の指摘を受けて不納付加算税や延滞税が課されることがないよう、注意が必要である。
木下 洋子(きのした・ひろこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人

群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。趣味はピアノを弾くこと。

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